肝転移に対し肝動注免疫化学療法が有効であった総胆管カルチノイドの1例

肝転移巣に対して肝動脈注入免疫化学療法が奏効した極めてまれな胆管カルチノイドの1例を経験した. 症例: 42歳の女性. 主訴: 全身倦怠感, 黄疸. 現病歴: 1989年8月頃全身倦怠感を自覚し近医を受診したところ, 黄疸を指摘され精査治療目的で当科に入院した. 腹部CT, PTCD, ERCPにて肝転移を伴う胆管癌と診断の上, 手術を施行した. 開腹すると肝転移 (S4, S2, S7領域) とリンパ節転移 (No.12, 8) を伴う小指頭大の腫瘍が下部胆管に存在し, D1郭清を伴う胆管切除術と肝動注用ポート設置術を施行した. 摘出標本では12×10×6mm大の堅い腫瘤が認められ, 病理検...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 11; pp. 2201 - 2205
Main Authors 国枝, 克行, 佐治, 重豊, 熊沢, 伊和生, 杉山, 保幸, 宮, 喜一, 下川, 邦泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1997
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:肝転移巣に対して肝動脈注入免疫化学療法が奏効した極めてまれな胆管カルチノイドの1例を経験した. 症例: 42歳の女性. 主訴: 全身倦怠感, 黄疸. 現病歴: 1989年8月頃全身倦怠感を自覚し近医を受診したところ, 黄疸を指摘され精査治療目的で当科に入院した. 腹部CT, PTCD, ERCPにて肝転移を伴う胆管癌と診断の上, 手術を施行した. 開腹すると肝転移 (S4, S2, S7領域) とリンパ節転移 (No.12, 8) を伴う小指頭大の腫瘍が下部胆管に存在し, D1郭清を伴う胆管切除術と肝動注用ポート設置術を施行した. 摘出標本では12×10×6mm大の堅い腫瘤が認められ, 病理検索では腫瘍細胞が胞巣状, 索状に配列し, 胆管カルチノイドと診断された. 辺縁に低分化型腺癌組織が混在していた. 術後MMC, rIL-2, OK-432による動注免疫化学療法を8コース施行したところ, 肝転移巣は著明に縮小し, 血清CEA値も正常化した. その後の化学療法を拒否し来院せず術後3年5か月目に肝転移と腹膜転移にて死亡した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.30.2201