痛風および血小板機能障害を合併した成人糖原病Ia型(von Gierke病)の1例
糖原病は小児期疾患としては必らずしも希なものではなく,本邦においてもすでに200例以上の報告をみているが,成人に達してからの発症例は少なく,さらに痛風を合併するものは希である.われわれは27才の男子で多発性関節痛を主訴に受診し,著明な肝腫大,高尿酸血症,空腹時の低血糖,高乳酸血症,高焦性ブドウ酸血症,高脂血症ならびに糖負荷試験後の乳酸値の減少などより糖原病Ia型(von Gierke病)と診断し,肝組織内にPAS染色, carmine染色陽性のグリコーゲンの異常沈着を認めると共に,酵素生化学的にグリコーゲン量の著増とGlucose-6-Phosphatase活性の著しい低下より,糖原病Ia型(...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 55 - 61 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
01.01.1983
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ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.72.55 |
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Summary: | 糖原病は小児期疾患としては必らずしも希なものではなく,本邦においてもすでに200例以上の報告をみているが,成人に達してからの発症例は少なく,さらに痛風を合併するものは希である.われわれは27才の男子で多発性関節痛を主訴に受診し,著明な肝腫大,高尿酸血症,空腹時の低血糖,高乳酸血症,高焦性ブドウ酸血症,高脂血症ならびに糖負荷試験後の乳酸値の減少などより糖原病Ia型(von Gierke病)と診断し,肝組織内にPAS染色, carmine染色陽性のグリコーゲンの異常沈着を認めると共に,酵素生化学的にグリコーゲン量の著増とGlucose-6-Phosphatase活性の著しい低下より,糖原病Ia型(von Gierke病)と確定診断しえた症例を経験した.本例は成人に達してからの発症であり,痛風結節は認められなかつたが,関節炎症状は高尿酸血症, allopurinolが著効を示した点より,痛風を合併した成人糖原病Ia型と診断した.又臨床的には何らの出血傾向を認めなかつたが, ADP凝集能,エピネフリン凝集能,血小板停滞率など血小板機能に異常を認めたので,若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.72.55 |