麻短繊維のボールミル摩砕による特性変化

振動ボールミルを用いて2種類の麻短繊維 (ラミー繊維およびリネン繊維) を空気やアルゴン雰囲気下, あるいはラジカル捕捉剤 (トルエン) の存在下で摩砕したときの特性変化について検討した. これら両繊維は摩砕初期において脱繊維化してフィブリルを生じその比表面積は大きくなったが, 摩砕時間の増加とともにフィブリルは凝集して粒状化し, その比表面積は減少した. また, この摩砕による機械的エネルギーを受けた両繊維は, セルロース主鎖の切断による重合度の急激な低下とともに非晶質化した. さらに, 未処理の両繊維に比較してこれら摩砕した繊維の表面活性度は, 劇的に増大し, その増加に及ぼす摩砕雰囲気の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高分子論文集 Vol. 52; no. 5; pp. 305 - 314
Main Authors 尾野, 凱生, 網田, 佳代子, 橋詰, 源蔵, 石田, 信伍, 小西, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 25.05.1995
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:振動ボールミルを用いて2種類の麻短繊維 (ラミー繊維およびリネン繊維) を空気やアルゴン雰囲気下, あるいはラジカル捕捉剤 (トルエン) の存在下で摩砕したときの特性変化について検討した. これら両繊維は摩砕初期において脱繊維化してフィブリルを生じその比表面積は大きくなったが, 摩砕時間の増加とともにフィブリルは凝集して粒状化し, その比表面積は減少した. また, この摩砕による機械的エネルギーを受けた両繊維は, セルロース主鎖の切断による重合度の急激な低下とともに非晶質化した. さらに, 未処理の両繊維に比較してこれら摩砕した繊維の表面活性度は, 劇的に増大し, その増加に及ぼす摩砕雰囲気の影響は次のとおりであった. 空気雰囲気>アルゴン雰囲気>空気雰囲気でトルエン添加. 特に, このトルエンの添加については, 摩砕時に生成する繊維上のメカノラジカルを消失させ, その表面活性度を減少させるとともに粒子相互の凝集を抑制することもわかった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.52.305