1期的に手術が可能であった同時性肝, 肺重複癌の1例

重複癌に関する報告は多いが, 肝, 肺重複癌の組み合わせは数少ない.私達は1期的に根治手術を施行した同時性肝, 肺重複癌の1症例を経験しえたので報告する, 症例は62歳の男性で, 主訴は全身倦怠感であった.腹部CTで肝右葉 (S5亜区域) に径2.0cmの占居性病変を認め, 腹部超音波, magnet resonanceimaging (MRI), 血管造影を施行し原発性肝癌と診断した.また, 術前胸部X線で, 右上肺野に径1.4cmのcoinlesionを認めたため, 胸部断層撮影, 胸部CTを施行し, 形態学上S2区域に発生した扁平上皮癌と診断し, 同時性肝, 肺重複癌の診断で1期的に根治...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 7; pp. 2074 - 2078
Main Authors 石根, 典幸, 溝渕, 正行, 松尾, 嘉禮, 廣瀬, 清, 大野, 靖彦, 佐々木, 章公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1993
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.26.2074

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Summary:重複癌に関する報告は多いが, 肝, 肺重複癌の組み合わせは数少ない.私達は1期的に根治手術を施行した同時性肝, 肺重複癌の1症例を経験しえたので報告する, 症例は62歳の男性で, 主訴は全身倦怠感であった.腹部CTで肝右葉 (S5亜区域) に径2.0cmの占居性病変を認め, 腹部超音波, magnet resonanceimaging (MRI), 血管造影を施行し原発性肝癌と診断した.また, 術前胸部X線で, 右上肺野に径1.4cmのcoinlesionを認めたため, 胸部断層撮影, 胸部CTを施行し, 形態学上S2区域に発生した扁平上皮癌と診断し, 同時性肝, 肺重複癌の診断で1期的に根治手術を施行した.組織学的検索では, Edmondson II型の肝細胞癌と中分化型扁平上皮癌であった.重複癌の発生頻度は増加傾向にあり, 治療法選択が問題となるが, 全身状態の評価, 癌の進行度, 術式, 手術順序を検討し, 可能なかぎり1期的に定型的根治手術を施行することが望ましいと考えた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.26.2074