肝細胞癌と他臓器癌との重複癌症例

肝細胞癌症例108例中, 8例が他臓器癌との重複例で, これは全体の7.4%であった.うち同時性重複癌が7例で, 異時性は1例のみであった.重複する癌としては胃癌がもっとも多く, 肝細胞癌症例では食道静脈瘤のみならず胃癌の併存を念頭に置く必要があると考えられた.重複癌 (n=8) と非重複癌 (n=100) について比較検討した.肝硬変併存率は重複癌で62.5%, 非重複癌で91%と重複癌で有意に低く, ICG15分停滞率は重複癌で13.9±6.6%, 非重複癌で22.9±13.0%と重複癌で有意に低値を示した.またHBs抗原の陽性率は重複癌で0%, 非重複癌で29%と有意差はないが重複癌で低...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 7; pp. 2037 - 2040
Main Authors 鬼束, 惇義, 日野, 晃紹, 渡辺, 敬, 飯田, 辰美, 山田, 直樹, 千賀, 省始, 尾関, 豊, 荒川, 博徳, 広瀬, 一, 林, 勝知
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1991
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.24.2037

Cover

More Information
Summary:肝細胞癌症例108例中, 8例が他臓器癌との重複例で, これは全体の7.4%であった.うち同時性重複癌が7例で, 異時性は1例のみであった.重複する癌としては胃癌がもっとも多く, 肝細胞癌症例では食道静脈瘤のみならず胃癌の併存を念頭に置く必要があると考えられた.重複癌 (n=8) と非重複癌 (n=100) について比較検討した.肝硬変併存率は重複癌で62.5%, 非重複癌で91%と重複癌で有意に低く, ICG15分停滞率は重複癌で13.9±6.6%, 非重複癌で22.9±13.0%と重複癌で有意に低値を示した.またHBs抗原の陽性率は重複癌で0%, 非重複癌で29%と有意差はないが重複癌で低い傾向を認めた.重複癌の治療にあたっては, 安全性と根治性さらには症状をも加味した, おのおのの症例にあった治療方針を決定する必要がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.24.2037