Magnetic resonance imagingが診断に有用であった肝嚢胞腺癌の1例

比較的まれな疾患である肝嚢胞腺癌の1手術症例を経験したので報告する.特にmagnetic resonance imazing (MRI) は本例において特徴的な像を示し診断に有用であったのでその所見を呈示する.症例は63歳, 女性.主訴は全身掻痒感.初診時上腹部腫瘤を触知.腹部超音波検査, computed tomography (CT), 腹腔動脈造影にて肝左葉に嚢胞性病変を認めた.MRIにて液体貯留が考えられる部分はT1強調像で高信号を示し, 充実性組織と考えられる部分はT2強調像で高信号と低信号が混在するパターンを示し特徴的であった.超音波ガイド下穿刺にて細胞診はclass-IIであった...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 5; pp. 1285 - 1289
Main Authors 井田, 健, 真下, 六郎, 井上, 秀治, 西沢, 孝, 林, 一資, 坂本, 忠弘, 定本, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1991
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.24.1285

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Summary:比較的まれな疾患である肝嚢胞腺癌の1手術症例を経験したので報告する.特にmagnetic resonance imazing (MRI) は本例において特徴的な像を示し診断に有用であったのでその所見を呈示する.症例は63歳, 女性.主訴は全身掻痒感.初診時上腹部腫瘤を触知.腹部超音波検査, computed tomography (CT), 腹腔動脈造影にて肝左葉に嚢胞性病変を認めた.MRIにて液体貯留が考えられる部分はT1強調像で高信号を示し, 充実性組織と考えられる部分はT2強調像で高信号と低信号が混在するパターンを示し特徴的であった.超音波ガイド下穿刺にて細胞診はclass-IIであったが, 画像診断より肝嚢胞腺癌を強く疑い肝左葉切除術を施行した.腫瘍は9×8×8cm大, 嚢胞性で内容は褐色調の粘液で, 多房性であった.病理組織学的に嚢胞壁は厚い線維性結合織より成り, その内面に乳頭状に増生する腺癌を認めた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.24.1285