間質性肺炎の治療過程でBALF中に栄養型原虫を証明し自然治癒したカリニ肺炎の1例
症例は63歳男性. 間質性肺炎のステロイド治療中に急性肺炎を合併し, 喀痰中に肺炎球菌, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中に多数の P. carinii (PC) 原虫を認めたがステロイドの減量とペニシリン系抗生剤の投与のみで肺炎が治癒した. 電顕でBALF中のPCの微細構造を観察した結果, 多数の管状突起 (tubular expansion) と母栄養型内娘栄養型 (endogeny) を認めた. これらの像は肺胞腔内でPCが活発に生育していることを示唆しており, PCが肺細胞内ではなく主に肺胞腔内に寄生する病原体であることを裏付ける. また, BALF中リン脂質分析では, PC肺炎併発...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 636 - 642 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.05.1993
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Subjects | |
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ISSN | 0301-1542 1883-471X |
DOI | 10.11389/jjrs1963.31.636 |
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Summary: | 症例は63歳男性. 間質性肺炎のステロイド治療中に急性肺炎を合併し, 喀痰中に肺炎球菌, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中に多数の P. carinii (PC) 原虫を認めたがステロイドの減量とペニシリン系抗生剤の投与のみで肺炎が治癒した. 電顕でBALF中のPCの微細構造を観察した結果, 多数の管状突起 (tubular expansion) と母栄養型内娘栄養型 (endogeny) を認めた. これらの像は肺胞腔内でPCが活発に生育していることを示唆しており, PCが肺細胞内ではなく主に肺胞腔内に寄生する病原体であることを裏付ける. また, BALF中リン脂質分析では, PC肺炎併発に伴い一過性の総リン脂質量の増加が認められ, PCが肺サーファクタント代謝にも影響を与えている可能性を示唆し, 興味ある所見と考えられる. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.31.636 |