下行結腸癌に対する左結腸切除術後に発症した上腸間膜動脈性十二指腸閉塞の1例
症例は52歳の女性で, 貧血の精査で下行結腸癌と診断された. 左結腸切除術, D3郭清を行い, 端々吻合にて再建した. 支配血管の副中結腸動脈を根部で処理し, 中結腸動脈を温存した. 術後5日目に食事を開始したが, 9日目に嘔気・嘔吐が出現した. 上部消化管造影検査にて十二指腸第3部での直線的途絶と口側十二指腸の拡張, 3次元CT, 超音波検査にて腹部大動脈と上腸間膜動脈の分岐角の狭小化を認めた. 上腸間膜動脈性十二指腸閉塞と診断し, 経鼻胃管による減圧, 中心静脈栄養, 体位変換にて保存的治療を行い, 症状は徐々に改善したため, 術後23日目に経鼻胃管を抜去, 28日目から経口摂取を開始した...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 660 - 665 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2006
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.39.660 |
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Summary: | 症例は52歳の女性で, 貧血の精査で下行結腸癌と診断された. 左結腸切除術, D3郭清を行い, 端々吻合にて再建した. 支配血管の副中結腸動脈を根部で処理し, 中結腸動脈を温存した. 術後5日目に食事を開始したが, 9日目に嘔気・嘔吐が出現した. 上部消化管造影検査にて十二指腸第3部での直線的途絶と口側十二指腸の拡張, 3次元CT, 超音波検査にて腹部大動脈と上腸間膜動脈の分岐角の狭小化を認めた. 上腸間膜動脈性十二指腸閉塞と診断し, 経鼻胃管による減圧, 中心静脈栄養, 体位変換にて保存的治療を行い, 症状は徐々に改善したため, 術後23日目に経鼻胃管を抜去, 28日目から経口摂取を開始した. 症状改善後の分岐角に変化を認めなかった. 経過は良好で, 術後49日目に退院した. 結腸切除術後早期に嘔気・嘔吐を繰り返し, 腹部X線でイレウス所見を認めない場合には上腸間膜動脈性十二指腸閉塞も念頭に入れて診療にあたる必要がある. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.39.660 |