動脈の分岐走行とリンパ節転移状況からみた結腸癌の部位別D2郭清術

術前血管造影を行い, D2以上の根治術を行った結腸癌344例を対象に, 主幹動脈の走行変異とn2症例 (63例) の転移状況から, 深達度sm-mpの結腸癌に対してD2郭清を行う場合の切除範囲を, 占居部位別に検討して以下の結論を得た.回盲部癌は, 回結腸動脈の分岐変異は認めず, n2転移はNo.202のみであり, 回盲部切除でD2郭清可能である. 上行結腸癌は, 主幹動脈の分岐走行変異が豊富で, n2の転移部位も多様であり, D2郭清といえども右半結腸切除を要する. 横行結腸癌は, 横行結腸切除にてD2郭清可能なものが多いが, 右側では右・中結腸動脈が共通幹を有する場合, 右半結腸切除を行う...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 710 - 716
Main Authors 大原, 都桂, 井川, 理, 沢井, 清司, 竹中, 温, 谷口, 弘毅, 加藤, 誠, 高橋, 滋, 徳田, 一, 泉, 浩, 高橋, 俊雄, 下間, 正隆, 矢田, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1996
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.29.710

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Summary:術前血管造影を行い, D2以上の根治術を行った結腸癌344例を対象に, 主幹動脈の走行変異とn2症例 (63例) の転移状況から, 深達度sm-mpの結腸癌に対してD2郭清を行う場合の切除範囲を, 占居部位別に検討して以下の結論を得た.回盲部癌は, 回結腸動脈の分岐変異は認めず, n2転移はNo.202のみであり, 回盲部切除でD2郭清可能である. 上行結腸癌は, 主幹動脈の分岐走行変異が豊富で, n2の転移部位も多様であり, D2郭清といえども右半結腸切除を要する. 横行結腸癌は, 横行結腸切除にてD2郭清可能なものが多いが, 右側では右・中結腸動脈が共通幹を有する場合, 右半結腸切除を行うべきであり, 左側では副中結腸動脈に注意が必要である. 左結腸動脈とS状結腸動脈第1枝が共通幹を形成している場合, 下行結腸癌ではNo.242-1を, S状結腸癌ではNo.232を含めて郭清すべきである. S状結腸癌はn2症例の39%にNo.252転移を認めたことよりD2郭清ではNo.252の郭清が必須である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.29.710