巨大な上腸間膜静脈-下大静脈短絡による猪瀬型肝性脳症の1手術治験例

非常にまれな巨大な門脈一大静脈シャントにより, 猪瀬型肝性脳症を呈した症471に, シャント切除術を行い良好な結果を得た. 患者は55歳の男性で肝硬変と陣腫を伴い総ビリルビン2.6mg/dl, ICGR1544.5%白血球1,800, 血小板6.2X104でぁった, シャントは上腸間膜静脈より右腎静脈下の下大静脈に流入し, 血管径は3.4cmで右後腹膜腔全体に屈曲蛇行する巨大なものであった. 手術は陣摘出術とシャント血管切除を行った. 術中門脈圧に変化を認めず門脈血流は向肝性となった. 術後, 自血球, 血小板は著明に増加し, アンモニア, ICG, 胆汁酸, エンドトキシン等の諸検査成績も改...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 3; pp. 777 - 781
Main Authors 丸林, 誠二, 馬庭, 宣隆, 福田, 康彦, 浅原, 利正, 土肥, 雪彦, 八幡, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1990
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.23.777

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Summary:非常にまれな巨大な門脈一大静脈シャントにより, 猪瀬型肝性脳症を呈した症471に, シャント切除術を行い良好な結果を得た. 患者は55歳の男性で肝硬変と陣腫を伴い総ビリルビン2.6mg/dl, ICGR1544.5%白血球1,800, 血小板6.2X104でぁった, シャントは上腸間膜静脈より右腎静脈下の下大静脈に流入し, 血管径は3.4cmで右後腹膜腔全体に屈曲蛇行する巨大なものであった. 手術は陣摘出術とシャント血管切除を行った. 術中門脈圧に変化を認めず門脈血流は向肝性となった. 術後, 自血球, 血小板は著明に増加し, アンモニア, ICG, 胆汁酸, エンドトキシン等の諸検査成績も改善した. また, 門脈血栓症を併発したが抗凝固療法によリコントロールできた. 胃周囲血行郭清術はしなかったが, 食道静脈瘤の進展はみていない. 今後, 門脈大静脈シヤント症例には, 肝不全, 食道静脈瘤, 門脈血栓症の発症に注意して積極的に切除すべきである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.23.777