CAPD症例の腹膜機能の推移

CAPD治療期間の長期化に伴って, 除水能の低下を示す症例が散見されるようになってきている. 今回, 11例 (CAPD期間; 6か月-6年7か月) の腹膜機能をurea, creatinine (Cr) のD/P, 糖吸収率, 1日除水量, 除水率, 腹膜CCrで測定し, CAPD開始時の成績と比較した. CCrは経年的に低下傾向を示したが, D/Pは11例全て正常域に止どまり血清Cr値も増加傾向を示さなかった. 一方, 除水率は1-2例で下降を認め, 糖吸収率は3例で高値をとった. 総合的には現時点で溶質除去能の低下を示す症例はなく, CAPD 3年以上の自験5例のうち血液透析12年, 間...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 23; no. 3; pp. 279 - 284
Main Authors 原田, やよい, 佐々木, 千恵子, 長山, 誠, 大平, 整爾, 阿部, 憲司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.03.1990
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.23.279

Cover

More Information
Summary:CAPD治療期間の長期化に伴って, 除水能の低下を示す症例が散見されるようになってきている. 今回, 11例 (CAPD期間; 6か月-6年7か月) の腹膜機能をurea, creatinine (Cr) のD/P, 糖吸収率, 1日除水量, 除水率, 腹膜CCrで測定し, CAPD開始時の成績と比較した. CCrは経年的に低下傾向を示したが, D/Pは11例全て正常域に止どまり血清Cr値も増加傾向を示さなかった. 一方, 除水率は1-2例で下降を認め, 糖吸収率は3例で高値をとった. 総合的には現時点で溶質除去能の低下を示す症例はなく, CAPD 3年以上の自験5例のうち血液透析12年, 間歇的腹膜透析1年, CAPD 6年7か月の1例が除水能低下と判定された. 除水能低下の原因は不詳であるが, 腹膜炎および高浸透圧透析液の頻用は誘因の一つと推測された. 腹膜機能の把握は本療法を継続する上で最重要点の一つであり, 定期的な測定と分析が向後, 課題となろう.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.23.279