呼吸不全時におけるアンドロジェン系ホルモンとくにテストステロン分泌動態について

男性呼吸器不全患者を対象にテストステロン (T) 分泌動態を検討した. 症例をPaO2の値により3群に分け検討を行った結果, PaO2が60Torr 以下の呼吸不全を呈した群では, PaO2が70Torr を越えるコントロール群と比較して, 尿中および血中T値の有意な低下が認められた. またLHRH負荷試験において, 呼吸不全を呈した群ではコントロール群と比較して, 30分後のLHの増加率の低下および個々の症例の検討でLHのピーク値出現の遅延が高率に認められた. 一方HCG負荷試験では48時間後の値に差は認められなかった. T生合成に関する17α水酸化酵素の活性を, 17α水酸化プロゲステロン...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 27; no. 3; pp. 345 - 351
Main Authors 河内山, 資朗, 篠崎, 俊秀, 増山, 茂, 巽, 浩一郎, 木村, 弘, 栗山, 喬之, 本田, 良行
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.03.1989
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Summary:男性呼吸器不全患者を対象にテストステロン (T) 分泌動態を検討した. 症例をPaO2の値により3群に分け検討を行った結果, PaO2が60Torr 以下の呼吸不全を呈した群では, PaO2が70Torr を越えるコントロール群と比較して, 尿中および血中T値の有意な低下が認められた. またLHRH負荷試験において, 呼吸不全を呈した群ではコントロール群と比較して, 30分後のLHの増加率の低下および個々の症例の検討でLHのピーク値出現の遅延が高率に認められた. 一方HCG負荷試験では48時間後の値に差は認められなかった. T生合成に関する17α水酸化酵素の活性を, 17α水酸化プロゲステロン/プロゲルテロンの比より推定したが, この値は低酸素血症の程度に伴い低下するのが認められた. 以上より男性呼吸不全患者においては, PaO2低下に伴いアンドロジェン活性の低下および17α水酸化酵素活性の低下が起り, これは視床下部-下垂体系の機能低下に起因していることが示唆された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.27.345