門脈ガス血症を呈した上腸間膜動脈性十二指腸狭窄の1例
症例は81歳の男性で, 脳梗塞後遺症にて老人保健施設に入所中であった. 嘔吐, 著明な腹部膨満のため当科を受診した. 腹部X線にて胃拡張著明, 腹部造影CTにて上腸間膜動脈により十二指腸が圧迫され, 胃・十二指腸第3部までの拡張あり, 空腸の拡張を認めず. また, 門脈内ガス像を認めた. 上腸間膜動脈性十二指腸狭窄による急性胃十二指腸拡張, 門脈ガス血症と診断し, 経鼻胃管留置により保存的治療を開始した. 誤嚥性肺炎を認めたが, 徐々に全身状態の改善を認めた. 第5病日の腹部造影CT で胃十二指腸拡張・門脈ガスは消失し, 3D-CTでは上腸間膜動脈の分岐角度の狭小化を認めた. 上部消化管造影検...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 496 - 501 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2005
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.38.496 |
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Summary: | 症例は81歳の男性で, 脳梗塞後遺症にて老人保健施設に入所中であった. 嘔吐, 著明な腹部膨満のため当科を受診した. 腹部X線にて胃拡張著明, 腹部造影CTにて上腸間膜動脈により十二指腸が圧迫され, 胃・十二指腸第3部までの拡張あり, 空腸の拡張を認めず. また, 門脈内ガス像を認めた. 上腸間膜動脈性十二指腸狭窄による急性胃十二指腸拡張, 門脈ガス血症と診断し, 経鼻胃管留置により保存的治療を開始した. 誤嚥性肺炎を認めたが, 徐々に全身状態の改善を認めた. 第5病日の腹部造影CT で胃十二指腸拡張・門脈ガスは消失し, 3D-CTでは上腸間膜動脈の分岐角度の狭小化を認めた. 上部消化管造影検査では十二指腸第3部での造影剤の途絶と口側腸管の拡張を認めた. 咀嚼・嚥下障害あり, 経管栄養開始後, 第19病日に転院した. 保存的治療のみで軽快した門脈ガス血症, 急性胃拡張を伴う上腸間膜動脈性十二指腸狭窄症はまれであり, 文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.38.496 |