脛骨粗面前内方移動術後15年を経過した膝蓋大腿関節症病変部の所見
「はじめに」脛骨粗面前内方移動術は膝蓋大腿関節(以下PF関節と略す)の外側関節裂隙の狭小化と膝蓋骨の外方偏位を示すPF関節症に対して用いられる手術法である3),4),7),8),11). われわれは本法を行い15年を経過した症例の病変部を観察する機会を得たので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例 【症例】66歳, 女性. 【現病歴】40歳代より誘因なく立ちかがみや階段昇降時に左膝前面の疼痛を憶えるようになり, 徐々に疼痛は増し膝の腫脹や伸展制限も出現してきたため, 昭和62年1月(51歳時)に当科を受診した. PF関節に圧迫時痛および轢音を認め, X線上大腿脛骨関節には軽度の変形性変化を...
Saved in:
Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 1; pp. 125 - 128 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2003
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.52.125 |
Cover
Summary: | 「はじめに」脛骨粗面前内方移動術は膝蓋大腿関節(以下PF関節と略す)の外側関節裂隙の狭小化と膝蓋骨の外方偏位を示すPF関節症に対して用いられる手術法である3),4),7),8),11). われわれは本法を行い15年を経過した症例の病変部を観察する機会を得たので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例 【症例】66歳, 女性. 【現病歴】40歳代より誘因なく立ちかがみや階段昇降時に左膝前面の疼痛を憶えるようになり, 徐々に疼痛は増し膝の腫脹や伸展制限も出現してきたため, 昭和62年1月(51歳時)に当科を受診した. PF関節に圧迫時痛および轢音を認め, X線上大腿脛骨関節には軽度の変形性変化を認めるのみであったが, PF関節では外側関節裂隙に著明な狭小化と膝蓋骨の外方偏位がみられた(図1a). 関節鏡検査では膝蓋骨外側面, 及びこれに対応する大腿骨外側膝蓋面に広範な軟骨下骨の露出を認めた(図2). PF関節症と診断し, 脛骨粗面前内方移動術を行い, 脛骨粗面を内方及び前方に各1cm移動した. 術後, 膝蓋骨外方偏位の改善は不十分であるものの, 外側関節裂隙は術前に比べ開大がみられた(図1b). 術後左膝の疼痛は消失し, 特に愁訴なく農作業に従事していた. |
---|---|
ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.52.125 |