頚部に発生した気管支原性嚢胞の1例 本邦報告例15例を加えて

症例は37歳,女性で,右頚部の発赤と腫脹,疼痛,発熱を主訴に来院した.画像上,気管の右側に接してニボーを伴う多房性の嚢胞があり,感染を合併した頚部嚢胞性疾患と診断した.ドレナージは行わず,抗生剤により一旦は軽快退院した.その後,同部の感染による入院治療を繰り返したため,右半襟状切開により嚢胞摘出術を施行した.病理組織学的に嚢胞内に線毛円柱上皮を認め,頚部発生の気管支原性嚢胞と診断した.術後,一過性の右反回神経麻痺による嗄声を訴えたが,頚部膿瘍の再発はない.本邦報告例15例と自験例を合わせて検討したところ,(1)発見動機は有症状例が多い,(2)感染時には経皮的にドレナージが可能,(3)頚部(襟状...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 21; no. 2; pp. 178 - 182
Main Authors 懸川, 誠一, 上吉原, 光宏, 大谷, 嘉己, 川島, 修, 清水, 公裕, 森下, 靖雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2007
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は37歳,女性で,右頚部の発赤と腫脹,疼痛,発熱を主訴に来院した.画像上,気管の右側に接してニボーを伴う多房性の嚢胞があり,感染を合併した頚部嚢胞性疾患と診断した.ドレナージは行わず,抗生剤により一旦は軽快退院した.その後,同部の感染による入院治療を繰り返したため,右半襟状切開により嚢胞摘出術を施行した.病理組織学的に嚢胞内に線毛円柱上皮を認め,頚部発生の気管支原性嚢胞と診断した.術後,一過性の右反回神経麻痺による嗄声を訴えたが,頚部膿瘍の再発はない.本邦報告例15例と自験例を合わせて検討したところ,(1)発見動機は有症状例が多い,(2)感染時には経皮的にドレナージが可能,(3)頚部(襟状)切開のアプローチで摘出可能,といった縦隔発生症例にはみられない臨床的な特徴があり,多房性嚢胞は自験例のみであった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.21.178