肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓の1例
ラジオ波焼灼療法 (radiofrequency ablation; 以下, RFA) は肝腫瘍に対する低侵襲治療法として広く実施されているが, 合併症としてさまざまな周囲組織臓器の損傷が報告されている. 我々は肝細胞癌に対するRFA後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する. 患者は75歳の男性で, 肝右葉S4, S7, S8の肝細胞癌に対して肝動注療法と経皮的RFAを受けていた. RFAから10か月後に突然の腹痛と腹部膨満にて救急搬送された. 胸部X線検査では右横隔膜上に異常ガス像を認め, 胸腹部CTでは肝彎曲部の結腸が右胸腔内に脱出していた. 横隔膜ヘルニア嵌頓によるイレ...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 93 - 98 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.41.93 |
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Summary: | ラジオ波焼灼療法 (radiofrequency ablation; 以下, RFA) は肝腫瘍に対する低侵襲治療法として広く実施されているが, 合併症としてさまざまな周囲組織臓器の損傷が報告されている. 我々は肝細胞癌に対するRFA後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する. 患者は75歳の男性で, 肝右葉S4, S7, S8の肝細胞癌に対して肝動注療法と経皮的RFAを受けていた. RFAから10か月後に突然の腹痛と腹部膨満にて救急搬送された. 胸部X線検査では右横隔膜上に異常ガス像を認め, 胸腹部CTでは肝彎曲部の結腸が右胸腔内に脱出していた. 横隔膜ヘルニア嵌頓によるイレウスと診断し, 緊急手術を施行した. 肝腫瘍に接する横隔膜に直径3cmのヘルニア門を認めた. 結腸右半切除, 回腸人工肛門造設, ヘルニア修復術を施行し, 術後149病日に退院した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.93 |