当院における小児心臓病手術症例242例の臨床的検討

先天性心疾患々児に対する治療法としては, 従来より内科的治療と外科的治療とに大別されるが, 内科的冶療のみでは限界があり, その予後は外科的治療の成否によるところが大であった.しかしながら, 最近ではバルーン等を用いてのカテーテルによる内科的治療法 (Interventlonal Cardlac Catheterization) の進歩により外科的治療前あるいは治療後の狭窄性血管病変や狭窄性弁病変等の解除が行なわれるようになり, 本法は先天性心疾患々児の予後改善に役立っている.すなわち, 現在では先天性心疾患々児にとって心臓外科医 (外科的治療) と心臓小児科医 (内科的治療) との協同治療が...

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Published in北関東医学 Vol. 45; no. 5; pp. 383 - 393
Main Authors 井上, 佳也, 岡田, 恭典, 小野, 真康, 曽根, 克彦, 児島, 理子, 佐藤, 喜和, 篠原, 真, 石原, 茂樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.09.1995
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ISSN0023-1908
1883-6135
DOI10.2974/kmj1951.45.383

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Summary:先天性心疾患々児に対する治療法としては, 従来より内科的治療と外科的治療とに大別されるが, 内科的冶療のみでは限界があり, その予後は外科的治療の成否によるところが大であった.しかしながら, 最近ではバルーン等を用いてのカテーテルによる内科的治療法 (Interventlonal Cardlac Catheterization) の進歩により外科的治療前あるいは治療後の狭窄性血管病変や狭窄性弁病変等の解除が行なわれるようになり, 本法は先天性心疾患々児の予後改善に役立っている.すなわち, 現在では先天性心疾患々児にとって心臓外科医 (外科的治療) と心臓小児科医 (内科的治療) との協同治療が不可欠となっている.当院における先天性心疾患々児の治療は, 1989年6月より開始し, 現在 (1994年12月) までの5年6カ月間に242例を数えるに至った.242例のうち手術死亡は20例であり, 手術死亡率85%が外科手術成績であった.また協同治療としての経皮的血管形成術は9例に対して, 経皮的弁形成術は1例に対して行ない, うち7例 (70%) は良好な結果が得られたが, 残り3例は無効であった.良好な結果の7例のうちわけは, 3例がBlalock Taussig短絡術後の吻合部狭窄で3例が大動脈縮窄症の術後再狭窄例であり, 他の1例は大動脈弓離断症の術後再狭窄例であった.無効例は, 完全大血管転換症Jatene術後の肺動脈狭窄例と総動脈幹症術後肺動脈狭窄例さらに先天性大動脈弁狭窄症例に対する弁形成術の3例であった.今後もカテーテルによる治療法が進展し, 外科と小児科との間隙を埋めていくものと思われる.
ISSN:0023-1908
1883-6135
DOI:10.2974/kmj1951.45.383