両側の外側咽頭後リンパ節転移を生じた上顎歯肉癌と上顎洞癌の各1例

外側咽頭後リンパ節いわゆるルビエールリンパ節 (RN) への口腟癌の転移は非常に稀である。 顎口腔領域の癌から両側性にRNへの転移をきたした2症例を報告する。1例は51歳の男性で, 上顎歯肉癌 (TINO) に対する上顎部分切除後に局所再発と両側頸部リンパ節転移を生じた。両側の頸部郭清術と上顎亜全摘を施行したが, 8か月後にCTで片側のRN転移がみられた。その後, 化学療法を繰り返したが, 約6か月後のCT検査で対側にも本リンパ節転移がみられた。よって, 両側のRN転移と診断した。他の1例は66歳の男性で, 上顎洞癌 (T3N1) であった。化学療法を同時併用した放射線治療後に, 上顎部分切除...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 7; no. 4; pp. 369 - 376
Main Authors 木村, 幸紀, 道, 健一, 岡野, 友宏, 南雲, 正男, 花澤, 智美, 関, 健次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 25.12.1995
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.7.369

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Summary:外側咽頭後リンパ節いわゆるルビエールリンパ節 (RN) への口腟癌の転移は非常に稀である。 顎口腔領域の癌から両側性にRNへの転移をきたした2症例を報告する。1例は51歳の男性で, 上顎歯肉癌 (TINO) に対する上顎部分切除後に局所再発と両側頸部リンパ節転移を生じた。両側の頸部郭清術と上顎亜全摘を施行したが, 8か月後にCTで片側のRN転移がみられた。その後, 化学療法を繰り返したが, 約6か月後のCT検査で対側にも本リンパ節転移がみられた。よって, 両側のRN転移と診断した。他の1例は66歳の男性で, 上顎洞癌 (T3N1) であった。化学療法を同時併用した放射線治療後に, 上顎部分切除と上頸部郭清術を施行した。しかし, 術後9か月にCTで頸部リリンパ節転移とRN転移がみられた。頸部へ外照射を施行したが, 1か月にCTで対側のRN節転移がみられ両側転移と診断した。2例ともRN転移への治療効果がみられたが, 2か月前後で遠隔転移にて死亡し極めて予後不良であった。本転移の原因として, 頸部郭清術や腫瘍塞栓によるリンパ流が変化が考えられた。両側転移は, 対側からの転移や全身性に生じた遠隔転移の結果として成立したものと推測した。よって, 口腔癌と言えど症例によっては, RNの画像診断学が必要であると考えられた。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.7.369