急性上腸間膜動脈閉塞症例の臨床的検討
最近4年間に経験した上腸間膜動脈閉塞症5例を対象として診断, 治療, 予後について臨床的検討を行った.また, 術前1年間腹部アンギーナの症状を呈していた教訓的な1症例を呈示した.5症例の平均年齢は72歳と高齢であった.3例は, 突然の腹痛で発症した.既往歴は, 心房細動が3例と最も多かった.1例は破裂性腹部大動脈瘤を伴っていた.術前血管造影施行例はなく, 腹膜炎または腸閉塞の診断で開腹された.5例全例に手術が行われ, うち2例は小腸部分切除術, 2例は小腸広範囲切除+結腸右半切除術を施行した.1例は状態が極めて不良のため非切除で閉腹した.発症より24時間以内に開腹された小腸部分切除例の2例のみ...
Saved in:
Published in | 北関東医学 Vol. 44; no. 1; pp. 51 - 55 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
北関東医学会
01.01.1994
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0023-1908 1883-6135 |
DOI | 10.2974/kmj1951.44.51 |
Cover
Summary: | 最近4年間に経験した上腸間膜動脈閉塞症5例を対象として診断, 治療, 予後について臨床的検討を行った.また, 術前1年間腹部アンギーナの症状を呈していた教訓的な1症例を呈示した.5症例の平均年齢は72歳と高齢であった.3例は, 突然の腹痛で発症した.既往歴は, 心房細動が3例と最も多かった.1例は破裂性腹部大動脈瘤を伴っていた.術前血管造影施行例はなく, 腹膜炎または腸閉塞の診断で開腹された.5例全例に手術が行われ, うち2例は小腸部分切除術, 2例は小腸広範囲切除+結腸右半切除術を施行した.1例は状態が極めて不良のため非切除で閉腹した.発症より24時間以内に開腹された小腸部分切除例の2例のみ救命しえた.腹部救急診療においては, 腹痛の原因として腸管虚血性疾患を念頭におくことが大切であり, 心疾患を有する高齢者で突然の腹痛を来たした場合には, 本症を強く疑い血管造影による早期診断, 早期治療が重要と思われた. |
---|---|
ISSN: | 0023-1908 1883-6135 |
DOI: | 10.2974/kmj1951.44.51 |