大分泌尿器科病院におけるTURP 997例の経験 術前合併疾患と術後合併症を中心に
1974年3月から1985年12月までの間に大分泌尿器科病院において施行した997例の経尿道的前立腺切除術について, 術前合併疾患と手術合併症を中心に臨床的検討を加えた. 術前診断は前立腺肥大症 (BPH) 958例, 前立腺癌39例であり, 術前診断がBPHであったもののうち術後病理組織的診断で発見された前立腺偶発癌は31例 (3.4%) であった. 術前に指摘された主な合併疾患は心血管系疾患 (19%), 低蛋白血症 (8.8%), 腎機能低下 (7.6%), 耐糖能低下 (5.1%) であった. 術中および術後の主な合併症は, 輸血を必要とした出血 (5.9%), 低Na血症 (2.7%...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 12; pp. 1976 - 1981 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
20.12.1988
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ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.79.12_1976 |
Cover
Summary: | 1974年3月から1985年12月までの間に大分泌尿器科病院において施行した997例の経尿道的前立腺切除術について, 術前合併疾患と手術合併症を中心に臨床的検討を加えた. 術前診断は前立腺肥大症 (BPH) 958例, 前立腺癌39例であり, 術前診断がBPHであったもののうち術後病理組織的診断で発見された前立腺偶発癌は31例 (3.4%) であった. 術前に指摘された主な合併疾患は心血管系疾患 (19%), 低蛋白血症 (8.8%), 腎機能低下 (7.6%), 耐糖能低下 (5.1%) であった. 術中および術後の主な合併症は, 輸血を必要とした出血 (5.9%), 低Na血症 (2.7%), 発熱 (2.6%), 戻道狭窄 (1.7%), 尿失禁 (0.3%) であり, 多くの場合保存的治療で改善した. 手術死亡例は3例経験し, その死亡原因は急性心不全, 脳出血, 敗血症であった. これら3例のいずれも, 術前に低蛋白血症と腎機能低下が存在しており, この両者の危険因子としての重要性が強調された. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.79.12_1976 |