経過観察されていた腫瘤自覚乳癌症例の検討

患者自身の自覚した乳腺腫瘤が, 検診で良性あるいは非腫瘤と診断され, 経過観察された乳癌の臨床的検討を行った. 26例のうち自覚症状に変化のあったのは18例で, 13例が自主的に再受診していた. 経過観察群の診断時年齢は30から55歳であった. 初診時に診断された乳癌262例の初診診断群に比べ, 経過観察群は乳癌の家族歴と浸潤癌特殊型とが有意に多かった. マンモグラフィーで確診できなかった例の約半数が穿刺細胞診で診断された. 経過観察期間が7ヵ月以上になると, 病期に影響が及んだ. しかし, 予後は, 生存曲線よりみると, 術後平均5年の現在, 初診診断例と変わりはなかった. 以上, 腫瘤自覚...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 45; no. 5; pp. 468 - 472
Main Authors 八十川, 要平, 茂木, 浩子, 古波倉, 史子, 磯垣, 誠, 岡, 慎一郎, 箕浦, 宏彦, 高橋, 俊毅, 秋山, 憲義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.05.1991
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.468

Cover

More Information
Summary:患者自身の自覚した乳腺腫瘤が, 検診で良性あるいは非腫瘤と診断され, 経過観察された乳癌の臨床的検討を行った. 26例のうち自覚症状に変化のあったのは18例で, 13例が自主的に再受診していた. 経過観察群の診断時年齢は30から55歳であった. 初診時に診断された乳癌262例の初診診断群に比べ, 経過観察群は乳癌の家族歴と浸潤癌特殊型とが有意に多かった. マンモグラフィーで確診できなかった例の約半数が穿刺細胞診で診断された. 経過観察期間が7ヵ月以上になると, 病期に影響が及んだ. しかし, 予後は, 生存曲線よりみると, 術後平均5年の現在, 初診診断例と変わりはなかった. 以上, 腫瘤自覚症例の経過観察の決定に穿刺細胞診は必要な検査の一つで, 検診で異常を認めぬ例でも腫瘤自覚例では6ヵ月以内の再検査の施行と腫瘤変化時の再受診の指導が望ましいと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.468