ヒトパルボウイルス B19 感染により一過性の骨髄異形成と血球貪食像を呈した遺伝性球状赤血球症の1例

Human parvovirus B19 (HPV-B19) は遺伝性球状赤血球症などの慢性溶血性貧血患者に感染するとaplasticcrisisを引き起こすことが知られている.今回われわれは, HPV-B 19感染症による一過性の骨髄異形成と血球貪食像がみられた遺伝性球状赤血球症の症例を経験したので報告する.症例は6歳男児で, 既往歴として1歳時より貧血を指摘されていた.発熱・全身倦怠感と汎血球減少 (白血球数3,500 /μl, 赤血球数179×104/μl, Hb 4.8 g/dl, 血小板数12.5×104/μl) を主訴に入院した.骨髄検査では巨大赤芽球と骨髄球系細胞の異形成および血...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 21; no. 4; pp. 176 - 180
Main Authors 海津, 聖彦, 前田, 美穂, 右田, 真, 渡邉, 誠, 早川, 真理, 福永, 慶隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.08.2007
日本小児血液学会
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.21.176

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Summary:Human parvovirus B19 (HPV-B19) は遺伝性球状赤血球症などの慢性溶血性貧血患者に感染するとaplasticcrisisを引き起こすことが知られている.今回われわれは, HPV-B 19感染症による一過性の骨髄異形成と血球貪食像がみられた遺伝性球状赤血球症の症例を経験したので報告する.症例は6歳男児で, 既往歴として1歳時より貧血を指摘されていた.発熱・全身倦怠感と汎血球減少 (白血球数3,500 /μl, 赤血球数179×104/μl, Hb 4.8 g/dl, 血小板数12.5×104/μl) を主訴に入院した.骨髄検査では巨大赤芽球と骨髄球系細胞の異形成および血球貪食像を認めた.赤血球の輸血以外とくに治療をせず, 経過観察したところ, 汎血球減少と骨髄の異形成および血球貪食像は自然回復した.HPV-B19のIgM抗体が陽性であった.末梢血中に小型球状赤血球を多数認め, 走査型電顕でも小型球状赤血球を確認し, 赤血球脆弱試験で赤血球の脆弱性を認めたため, 骨髄異形成と血球貪食は遺伝性球状赤血球症患者におけるHPV-B19感染症により一過性に生じた異常であったと推測した.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.21.176