大腿骨頚部・転子部骨折における現状と課題
医療連携を要する代表疾患ともいえる大腿骨近位部(頚部・転子部)骨折における地域連携パス稼働状況, IT化されたパスのデータベースの解析によりわかってきたこと, それを踏まえた上での今後の課題等について述べる. 術後在院日数に関するバリアンスの分析から, 本骨折罹患患者の術後予定在院日数を見直し, パスの改訂に至った. また, 退院基準達成度に関する調査から, 受傷前の歩行能力よりレベルを落としたゴール設定の必要性が示唆された. 新しい退院基準に沿って維持期への移行が進めば, 手術から回復期リハ施設退院までの入院期間は今後短縮していくものと考える. また維持期リハビリテーションの需要とともに,...
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Published in | 医療 Vol. 62; no. 9; pp. 490 - 494 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
20.09.2008
国立医療学会 |
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Summary: | 医療連携を要する代表疾患ともいえる大腿骨近位部(頚部・転子部)骨折における地域連携パス稼働状況, IT化されたパスのデータベースの解析によりわかってきたこと, それを踏まえた上での今後の課題等について述べる. 術後在院日数に関するバリアンスの分析から, 本骨折罹患患者の術後予定在院日数を見直し, パスの改訂に至った. また, 退院基準達成度に関する調査から, 受傷前の歩行能力よりレベルを落としたゴール設定の必要性が示唆された. 新しい退院基準に沿って維持期への移行が進めば, 手術から回復期リハ施設退院までの入院期間は今後短縮していくものと考える. また維持期リハビリテーションの需要とともに, 介護まで含めた患者中心の医療福祉供給体制のあり方が明確になってくるものと思われる. 医療機関の機能分化とともに, 従来の施設完結型から地域完結型医療へと変わりつつある現在の地域医療においては, 施設問の垣根を越えた地域連携クリティカルパスは必要不可欠なツールとなりつつある. 今後さらに解析を進めていくことにより, 本疾患患者の入院経過の全体像を明らかにしていくとともに, パスの改良を通して, 連携医療の標準化による良質で効率的な地域医療を目指していこうと考える. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.62.490 |