直立姿勢維持における内耳,深部感覚,足蹠機械受容体の役割
閉眼状態での直立姿勢維持に関与する末梢感覚器には, 内耳の他, 深部感覚と足蹠機械受容体がある. 各感覚器が著しく障害された症例で, 動揺にどのような特徴が現れるのかを検討し, それぞれの姿勢維持における役割を推測した. 内耳障害については, 少量冷水法によるカロリックテストで両側耳の最大緩徐相速度が10°/秒以下の症例(以下両側高度CP例)10例を対象とした. 深部感覚障害を定量的に評価するために, 振動覚計を使用した. これは, 音叉状の金属を患者の下肢内踝にあて, 振動の振幅を次第に大きくしていき, 患者が自覚した振幅閾値を計測するものである. しかし, 深部感覚のうち, 直立姿勢維持に...
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Published in | Equilibrium Research Vol. 64; no. 2; pp. 106 - 108 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
01.04.2005
日本めまい平衡医学会 |
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ISSN | 0385-5716 1882-577X |
DOI | 10.3757/jser.64.106 |
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Summary: | 閉眼状態での直立姿勢維持に関与する末梢感覚器には, 内耳の他, 深部感覚と足蹠機械受容体がある. 各感覚器が著しく障害された症例で, 動揺にどのような特徴が現れるのかを検討し, それぞれの姿勢維持における役割を推測した. 内耳障害については, 少量冷水法によるカロリックテストで両側耳の最大緩徐相速度が10°/秒以下の症例(以下両側高度CP例)10例を対象とした. 深部感覚障害を定量的に評価するために, 振動覚計を使用した. これは, 音叉状の金属を患者の下肢内踝にあて, 振動の振幅を次第に大きくしていき, 患者が自覚した振幅閾値を計測するものである. しかし, 深部感覚のうち, 直立姿勢維持に関わっているのは位置覚などであり, 振動覚そのものは姿勢維持との関連が乏しいと考えられた. そこで, 深部感覚障害を来しやすいといわれる糖尿病患者で振動覚閾値と重心動揺計検査を行い, 振動覚閾値と面積, 軌跡長に強い相関があることを確認した. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.64.106 |