肝細胞癌症例における食道静脈瘤の病態と治療に関する検討

内視鏡検査を施行した肝細胞癌51例の食道静脈瘤の所見を, F因子およびRC因子をもとに4期に分類し, それらの臨床所見との関係を検討した. 25例(49%)は, F2以上あるいはRC sign陽性を示し, 出血の危険を有する静脈瘤であった. そのうち7例(全症例の14%)に出血を認めた. 内視鏡病期は肝癌のStage, 臨床病期の増悪とともに高度となる傾向がみられたが, 少数ながらそれらと相関しない症例も認められた. また門脈血栓を有する症例では, 73%が高度の静脈瘤を形成しており, その60%に出血を認めた. 13例にEISを施行したが著効31%, 有効46%, 無効23%であり, 著効例...

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Published in医療 Vol. 47; no. 9; pp. 655 - 660
Main Authors 竿代, 丈夫, 本田, 三平, 中山, 秀次, 西巻, 英治, 川口美, 佐男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.09.1993
国立医療学会
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Summary:内視鏡検査を施行した肝細胞癌51例の食道静脈瘤の所見を, F因子およびRC因子をもとに4期に分類し, それらの臨床所見との関係を検討した. 25例(49%)は, F2以上あるいはRC sign陽性を示し, 出血の危険を有する静脈瘤であった. そのうち7例(全症例の14%)に出血を認めた. 内視鏡病期は肝癌のStage, 臨床病期の増悪とともに高度となる傾向がみられたが, 少数ながらそれらと相関しない症例も認められた. また門脈血栓を有する症例では, 73%が高度の静脈瘤を形成しており, その60%に出血を認めた. 13例にEISを施行したが著効31%, 有効46%, 無効23%であり, 著効例はいずれも肝癌のStage II以内の症例であった. 門脈腫瘍血栓を有する症例は, 易出血性であり, EISに抵抗を示す例が多くみられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.47.655