糖尿病患者の至適運動強度の決定法の検討 無酸素的運動閾値(Anaerobic threshold)の臨床応用
NIDDM患者の運動処方におけるAT(anaerobic threshold無酸素的運動閾値)の有用性を検討した. 男性のNIDDM患者14名を対象として, 負荷前(朝食後2時間)の血糖値が200mg/dl未満をコントロール良好群, 以上を不良群に分類し, 両群にtreadmillによる連続多段階負荷(Bruce法)を行つた. 負荷中血圧, 脈拍測定, 呼気ガス分析, 血中乳酸を測定し, ATを求めた. また糖代謝, 脂質代謝, 内分泌変化について検討した. コントロール不良群では嫌気的な代謝状態になりやすく, 運動負荷により強いストレス反応がみられた. またAT到達時間が2.4±0.5分とコ...
Saved in:
Published in | 医療 Vol. 44; no. 9; pp. 896 - 900 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
20.09.1990
国立医療学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.44.896 |
Cover
Summary: | NIDDM患者の運動処方におけるAT(anaerobic threshold無酸素的運動閾値)の有用性を検討した. 男性のNIDDM患者14名を対象として, 負荷前(朝食後2時間)の血糖値が200mg/dl未満をコントロール良好群, 以上を不良群に分類し, 両群にtreadmillによる連続多段階負荷(Bruce法)を行つた. 負荷中血圧, 脈拍測定, 呼気ガス分析, 血中乳酸を測定し, ATを求めた. また糖代謝, 脂質代謝, 内分泌変化について検討した. コントロール不良群では嫌気的な代謝状態になりやすく, 運動負荷により強いストレス反応がみられた. またAT到達時間が2.4±0.5分とコントロール良好群より有意に短縮し%Vo2maxも49%と有意に低かつたが, 両群のAT到達時の乳酸値に差はなかつた. 糖尿病患者の運動強度の決定に際し, 従来の年令別予想心拍数による指示では, ATレベルを越え, 運動がストレスとなる危険性があり, 今後ATによる基準作成が必要になるものとおもわれた. |
---|---|
ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.44.896 |