脳卒中急性期管理と連携パス
高齢化社会の進展の中で, 地域における脳卒中医療の連携強化が重大な課題となっている. 4疾病および5事業の医療提供体制の構築の中で, 脳卒中分野では急性期医療施設とかかりつけ医, 回復期および療養型施設との連携が必要である. 1) 急性期医療施設では高度診療に対応できる構造(専門医, 画像機器, 脳卒中治療ユニット)と診療プロセス(診断評価・アルテプラーゼ(rt-PA)静注治療および手術・看護・急性期リハ・教育など)を有すること, 2) かかりつけ医は1次予防, 2次予防に加えて発作時のトリアージが可能なこと, 3) 回復期医療施設ではリハビリテーションを主体に日常生活機能復帰と再発予防へ向け...
Saved in:
Published in | 医療 Vol. 62; no. 9; pp. 500 - 504 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
20.09.2008
国立医療学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 高齢化社会の進展の中で, 地域における脳卒中医療の連携強化が重大な課題となっている. 4疾病および5事業の医療提供体制の構築の中で, 脳卒中分野では急性期医療施設とかかりつけ医, 回復期および療養型施設との連携が必要である. 1) 急性期医療施設では高度診療に対応できる構造(専門医, 画像機器, 脳卒中治療ユニット)と診療プロセス(診断評価・アルテプラーゼ(rt-PA)静注治療および手術・看護・急性期リハ・教育など)を有すること, 2) かかりつけ医は1次予防, 2次予防に加えて発作時のトリアージが可能なこと, 3) 回復期医療施設ではリハビリテーションを主体に日常生活機能復帰と再発予防へ向けての調整ができること, 4) 療養施設と在宅サービスでは継続的な医療・介護のニーズに応えていくことであり, これらの施設が切れ目なく医療連携して情報を共有することが必要である. 福岡地区の公的急性期医療機関7施設の急性期入院患者数および発症3時間以内のrt-PA静注療法の実施率はこの2年間で有意に増加していた. 一方, 発症3時間以内の患者搬入率は明確には増加しておらず, 地域の救急搬送体制, 市民への一層の啓発が課題である. 福岡地区の急性期病院9施設をワーキンググループとして福岡市医師会版脳血管障害地域連携クリティカルパスを作成した. その特徴は発作前のハイリスク患者の専門医療施設とかかりつけ医の連携も視野に入れた, 急性期―回復期―維持期の連携体制であり, 脳血管障害をキーワードとして強調している. 限られた医療資源の有効利用という観点からは脳卒中の予防, 転帰と患者・家族満足度を考慮した上で, 各地域における最適な医療提供体制のルール作りを行い, 医療連携を推進していくことが求められている. |
---|---|
ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.62.500 |