肝原発小細胞癌の1切除例

症例は67歳の女性で,皮膚筋炎の診断時に施行した腹部造影CTにて肝外側区域に5cm大の門脈相で周囲に造影効果を伴う肝腫瘍を認め,精査加療目的に紹介となった.肝炎ウイルスはHBV,HCVが陰性で,AFP,PIVKA-IIは正常範囲内であった.転移性肝腫瘍を鑑別に精査するも肝外に原発巣は認めなかった.診断治療目的に腹腔鏡下肝部分切除術を施行.病理組織学的検査は,HE染色で核/細胞質比が高く核異型の強い小型腫瘍細胞の増殖を認め,免疫染色検査でCD56,Synaptophysin陽性であり肝原発小細胞癌と診断された.術後CDDP+VP-16を2コース施行するも,術後10か月で腹腔内リンパ節再発を術後1...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 2; pp. 169 - 175
Main Authors 太田, 拓実, 滝口, 伸浩, 鍋谷, 圭宏, 山本, 宏, 趙, 明浩, 早田, 浩明, 小西, 孝宜, 貝沼, 修, 池田, 篤, 永田, 松夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.169

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Summary:症例は67歳の女性で,皮膚筋炎の診断時に施行した腹部造影CTにて肝外側区域に5cm大の門脈相で周囲に造影効果を伴う肝腫瘍を認め,精査加療目的に紹介となった.肝炎ウイルスはHBV,HCVが陰性で,AFP,PIVKA-IIは正常範囲内であった.転移性肝腫瘍を鑑別に精査するも肝外に原発巣は認めなかった.診断治療目的に腹腔鏡下肝部分切除術を施行.病理組織学的検査は,HE染色で核/細胞質比が高く核異型の強い小型腫瘍細胞の増殖を認め,免疫染色検査でCD56,Synaptophysin陽性であり肝原発小細胞癌と診断された.術後CDDP+VP-16を2コース施行するも,術後10か月で腹腔内リンパ節再発を術後12か月で右副腎再発を認めた.無治療のまま現在術後16か月生存中である.肝原発小細胞癌は極めてまれな疾患であり,予後や治療法に関して一定の見解は得られていない.肝原発小細胞癌に関して文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.169