直腸癌の両肺転移が疑われた直腸,両肺,胃の同時性4重複癌の1例
症例は59歳の男性で,主訴は下血.近医受診し下部消化管内視鏡検査にて進行直腸癌と診断され当科紹介となる.CTにて右肺S1に2.4×1.7cm大,左肺S8に2.3×2.1cm大腫瘤を認めた.術前,上部消化管内視鏡検査にて早期胃癌あり.まず,直腸癌に対して低位前方切除術施行し,胃癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術施行した.その後,まず左肺腫瘍に対して,次に右肺腫瘍に対してそれぞれ胸腔鏡補助下肺部分切除術施行した.病理組織学的には,直腸が中分化型管状腺癌であり,胃が高分化型管状腺癌,左肺が低分化型扁平上皮癌,右肺が中分化型乳頭型腺癌の診断であり,同時性4重複癌と診断した.以後,1年間化学療法を行い,1...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 773 - 779 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.06.2011
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.44.773 |
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Summary: | 症例は59歳の男性で,主訴は下血.近医受診し下部消化管内視鏡検査にて進行直腸癌と診断され当科紹介となる.CTにて右肺S1に2.4×1.7cm大,左肺S8に2.3×2.1cm大腫瘤を認めた.術前,上部消化管内視鏡検査にて早期胃癌あり.まず,直腸癌に対して低位前方切除術施行し,胃癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術施行した.その後,まず左肺腫瘍に対して,次に右肺腫瘍に対してそれぞれ胸腔鏡補助下肺部分切除術施行した.病理組織学的には,直腸が中分化型管状腺癌であり,胃が高分化型管状腺癌,左肺が低分化型扁平上皮癌,右肺が中分化型乳頭型腺癌の診断であり,同時性4重複癌と診断した.以後,1年間化学療法を行い,1年9か月再発所見を認めていない.同時性4重複癌は非常にまれな疾患であり,進行直腸癌に両肺癌を合併した同時性重複癌の報告は本症例のみである.直腸癌の両肺転移と原発性肺癌の鑑別が困難であったため報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.44.773 |