果樹における天敵を主体としたハダニ防除戦略 w天>防除体系を中心に
「みどりの食料システム戦略」に代表されるように,農業生産においても環境負荷の低減は世界的に重要な行動規範となった.ハダニ類は増殖が早く薬剤抵抗性も発達しやすい非常に管理が難しい害虫だが,果樹の生産においては,「天敵を主体としたハダニ防除」への取組が環境や生物多様性への影響という観点から病害虫防除全体を見直す良い入口となる.こうした背景を下に,果樹園にもとから生息する土着天敵と製品化された天敵製剤のダブルの天敵を合理的に活用するための“<w天>防除体系”が確立され,現在,リンゴ,オウトウ,ナシ,施設ブドウ,施設ミカンを中心に生産現場で普及が進められている.同体系のフレームワークは「天敵に配慮した...
Saved in:
Published in | 農研機構研究報告 Vol. 2025; no. 20; p. 77 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
01.03.2025
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2434-9895 2434-9909 |
DOI | 10.34503/naroj.2025.20_77 |
Cover
Summary: | 「みどりの食料システム戦略」に代表されるように,農業生産においても環境負荷の低減は世界的に重要な行動規範となった.ハダニ類は増殖が早く薬剤抵抗性も発達しやすい非常に管理が難しい害虫だが,果樹の生産においては,「天敵を主体としたハダニ防除」への取組が環境や生物多様性への影響という観点から病害虫防除全体を見直す良い入口となる.こうした背景を下に,果樹園にもとから生息する土着天敵と製品化された天敵製剤のダブルの天敵を合理的に活用するための“<w天>防除体系”が確立され,現在,リンゴ,オウトウ,ナシ,施設ブドウ,施設ミカンを中心に生産現場で普及が進められている.同体系のフレームワークは「天敵に配慮した薬剤の選択」「天敵にやさしい草生管理」「補完的な天敵製剤の利用」「協働的な殺ダニ剤の利用」の4つのステップから構成され,各樹種をはじめ,それぞれの地域や園の環境,栽培様式や管理方法にフィットした最適な形を探る技術と手順を提供する.体系導入の手引きにはマニュアルや標準作業手順書などが公開されている.今後,ハダニ問題の根本的解決とともに,環境と調和した果樹生産構築のきっかけになると期待される. |
---|---|
ISSN: | 2434-9895 2434-9909 |
DOI: | 10.34503/naroj.2025.20_77 |