顎関節症の治療におけるセルフケアの潮流を知る 運動器障害の治療における,セルフケアの現在の考え方

顎関節症のセルフケアにおける運動療法は,保存的治療法で自然経過を阻害しない方法であり,患者に対する疾患教育とともに治療の第一選択であると考えられる。顎関節症の病態に応じて,筋伸展訓練,関節可動域訓練,筋力増強訓練などが処方される。非復位性関節円板前方転位に対する関節可動域訓練はその作用機序と効果のエビデンスが示されており,日本における診療ガイドラインにおいて推奨されている。咀嚼筋痛障害に対する筋伸展訓練は顎関節症治療の専門家による国際的検討により関節可動域訓練とともに推薦の合意が示されている。訓練の適用に際して,方法,頻度,強度,時間などの用量は患者個々に処方されることとなるが,最適な処方につ...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 72 - 80
Main Author 羽毛田, 匡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.12.2021
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.33.72

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Summary:顎関節症のセルフケアにおける運動療法は,保存的治療法で自然経過を阻害しない方法であり,患者に対する疾患教育とともに治療の第一選択であると考えられる。顎関節症の病態に応じて,筋伸展訓練,関節可動域訓練,筋力増強訓練などが処方される。非復位性関節円板前方転位に対する関節可動域訓練はその作用機序と効果のエビデンスが示されており,日本における診療ガイドラインにおいて推奨されている。咀嚼筋痛障害に対する筋伸展訓練は顎関節症治療の専門家による国際的検討により関節可動域訓練とともに推薦の合意が示されている。訓練の適用に際して,方法,頻度,強度,時間などの用量は患者個々に処方されることとなるが,最適な処方については今後の検討が期待される。加えて,多職種が連携し集学的治療を行うことが国民の健康増進に貢献することとなる。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.33.72