口唇裂・口蓋裂患者を持つ母親の妊娠期間における生活習慣調査 日本とラオス国の比較をまじえて

【目的】口唇裂・口蓋裂患者を持つ母親の妊娠期間における生活習慣調査を日本およびラオス人民民主共和国(以下ラオス国)において行い,母胎環境を中心とした環境要因についての検討を行った。 【対象と方法】対象は,当センター受診中の口唇裂・口蓋裂患者の母親24名(以下症例群)と,先天異常を有さない子供の母親22名(以下対照群)ならびに2011年ラオス国における医療援助で手術を施行した口唇裂・口蓋裂患者の母親26名(以下ラオス群)とした。アンケートはすべて現地の言語で記載されたものを用い,インフォームドコンセントを得た上で現地のスタッフによる対面調査とした。なお,本研究は琉球大学医学部附属病院倫理委員会で...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 37 - 43
Main Authors 新垣, 敬一, 片嶋, 弘貴, 砂川, 元, 天願, 俊泉, 後藤, 尊広, 藤井, 亜矢子, 朱, 海英, 仲間, 錠嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 25.04.2012
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.37.37

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Summary:【目的】口唇裂・口蓋裂患者を持つ母親の妊娠期間における生活習慣調査を日本およびラオス人民民主共和国(以下ラオス国)において行い,母胎環境を中心とした環境要因についての検討を行った。 【対象と方法】対象は,当センター受診中の口唇裂・口蓋裂患者の母親24名(以下症例群)と,先天異常を有さない子供の母親22名(以下対照群)ならびに2011年ラオス国における医療援助で手術を施行した口唇裂・口蓋裂患者の母親26名(以下ラオス群)とした。アンケートはすべて現地の言語で記載されたものを用い,インフォームドコンセントを得た上で現地のスタッフによる対面調査とした。なお,本研究は琉球大学医学部附属病院倫理委員会で承認された。 【結果】 1)妊娠判明時期は,症例群よりも対照群で平均2.9週早かった。 2)ラオス群の母親における出産時平均年齢は27.4歳であり,これはラオスでの出産年齢としては高い可能性が考えられた。 3)日本において在胎週数,出生時体重,妊娠初期の喫煙や飲酒の状況,妊娠期間中の食生活や薬剤服用状況には,各群間に有意な差は認められなかった。 【結語】妊娠を可及的早期に知ることは,以後の妊娠初期の生活習慣に,喫煙・飲酒を自制するといった変化が早期に生じることにつながり,口蓋裂発生への進展を防ぐ可能性が示唆された。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.37.37