授業に対する動機づけが児童の積極的授業参加行動に及ぼす影響 自己決定理論に基づいて

本研究の目的は, 児童の積極的授業参加行動に対する動機づけの影響について, 自己決定理論の枠組みを用いて検討することであった。小学校3年生から6年生までの1064名を2群に分け, 国語または算数いずれかの積極的授業参加行動と動機づけに関する調査を実施した。分析の結果,「注視・傾聴」「挙手・発言」「準備・宿題」の3つの積極的授業参加行動がどちらの教科でも確認され, その尺度得点についても教科差は見られず, 積極的授業参加行動は両教科において共通してみられるものであることが示された。積極的授業参加行動に対する動機づけの影響について構造方程式モデリングによる検討を行ったところ, 内発的動機づけは全て...

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Published in教育心理学研究 Vol. 56; no. 2; pp. 160 - 170
Main Authors 布施, 光代, 安藤, 史高, 小平, 英志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.06.2008
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ISSN0021-5015
2186-3075
DOI10.5926/jjep1953.56.2_160

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Summary:本研究の目的は, 児童の積極的授業参加行動に対する動機づけの影響について, 自己決定理論の枠組みを用いて検討することであった。小学校3年生から6年生までの1064名を2群に分け, 国語または算数いずれかの積極的授業参加行動と動機づけに関する調査を実施した。分析の結果,「注視・傾聴」「挙手・発言」「準備・宿題」の3つの積極的授業参加行動がどちらの教科でも確認され, その尺度得点についても教科差は見られず, 積極的授業参加行動は両教科において共通してみられるものであることが示された。積極的授業参加行動に対する動機づけの影響について構造方程式モデリングによる検討を行ったところ, 内発的動機づけは全ての積極的授業参加行動を促進しているが, 低自律的外発的動機づけは積極的授業参加行動を抑制することが明らかとなった。また, 高自律的外発的動機づけは「挙手・発言」と関連しておらず, 子どもの授業に対する意欲・動機づけを判断するためには, 多様な行動を考慮する必要があると言える。さらに, 学年差についても検討を行ったが, 学年が上がることに伴う何らかの方向性を持った変化は確認されなかった。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep1953.56.2_160