若者の裏アカウント保持行動の心理分析 将来不安、顕示欲求を鍵として

本研究は、日本の若者(Z世代)がX(旧Twitter)などのSNSにおいて「裏アカウント」を利用する理由と、その心理的背景を探求することを目的としている。裏アカウントの利用は、現代の若者がSNSを介してコミュニケーションを行う際に見られる典型的な行動であり、主な理由は、オンラインでの批判や誹謗中傷といった公的な監視を避けるためであると考えられる。我々は、若者が持つ特有の心理的状態が、こうしたオンラインでの批判への回避行動に影響を与えているという仮説を立てた。関東および関西地方の大学生581名を対象に実施した調査に基づき、将来に対する不安や自己顕示欲が、裏アカウントの利用に影響を与えていることが...

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Bibliographic Details
Published inイノベーション・マネジメント Vol. 22; pp. 207 - 218
Main Authors 中川, 功一, 樋口, 広喜, 中村, 文亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター 31.03.2025
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ISSN1349-2233
2433-6971
DOI10.24677/riim.22.0_207

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Summary:本研究は、日本の若者(Z世代)がX(旧Twitter)などのSNSにおいて「裏アカウント」を利用する理由と、その心理的背景を探求することを目的としている。裏アカウントの利用は、現代の若者がSNSを介してコミュニケーションを行う際に見られる典型的な行動であり、主な理由は、オンラインでの批判や誹謗中傷といった公的な監視を避けるためであると考えられる。我々は、若者が持つ特有の心理的状態が、こうしたオンラインでの批判への回避行動に影響を与えているという仮説を立てた。関東および関西地方の大学生581名を対象に実施した調査に基づき、将来に対する不安や自己顕示欲が、裏アカウントの利用に影響を与えていることが確認された。さらに、SNSの利用時間が長いユーザーやインターネットリテラシーが高い若者ほど、裏アカウントを利用する傾向が強いことも明らかとなった。これらの結果は、将来に対する期待や不安といった若者特有の心理的状態が、裏アカウントの利用につながっていることを示しており、彼らがインターネット社会においてある程度のストレスを抱えていることを示唆している。
ISSN:1349-2233
2433-6971
DOI:10.24677/riim.22.0_207