大規模分子動力学計算と新規動的モンテカルロ法による大規模不均一系の物質輸送に関する研究

複雑な構造を持つ「不均一系」の内部で分子拡散により生じる物質輸送は,様々な材料や環境で生じる普遍的な現象であり,ミクロ機構の解明が色々な場面で求められている.しかしながら,全原子分子動力学シミュレーションにより直接現象を追跡することは,不均一系で生じる物質輸送の時定数が長いため困難である.そこで,全原子動力学計算と動的モンテカルロ法を組み合わせることにより新たな研究手法を開発し,不均一系で生じる物質輸送の研究を行ってきた.特に,高分子電解質膜におけるガス透過の経路などを明らかにしてきた.本稿では,開発した手法と高分子電解質膜への応用研究について概説する.最近では,より大規模な系に手法を応用する...

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Published inアンサンブル Vol. 26; no. 3; pp. 281 - 288
Main Authors 永井 哲郎, 木村 将之, 陣内 亮典, 吉川 信明, 岡崎 進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 分子シミュレーション学会 31.07.2024
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ISSN1884-6750
1884-5088
DOI10.11436/mssj.26.281

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Summary:複雑な構造を持つ「不均一系」の内部で分子拡散により生じる物質輸送は,様々な材料や環境で生じる普遍的な現象であり,ミクロ機構の解明が色々な場面で求められている.しかしながら,全原子分子動力学シミュレーションにより直接現象を追跡することは,不均一系で生じる物質輸送の時定数が長いため困難である.そこで,全原子動力学計算と動的モンテカルロ法を組み合わせることにより新たな研究手法を開発し,不均一系で生じる物質輸送の研究を行ってきた.特に,高分子電解質膜におけるガス透過の経路などを明らかにしてきた.本稿では,開発した手法と高分子電解質膜への応用研究について概説する.最近では,より大規模な系に手法を応用するために,機械学習モデル展開の応用を提案している.この概要についても簡単に触れたい.
ISSN:1884-6750
1884-5088
DOI:10.11436/mssj.26.281