電気味覚閾値の信頼性について 随伴陰性変動を用いた電気味覚検査

事象関連電位の1つである随伴陰性変動(CNV)は警告刺激S1に対して後続する命令刺激S2の出現を予期することにより発生する.我々はこの特徴を利用し,警告刺激S1に電気味覚刺激を用い,他覚的味覚検査としての有用性について検討した. 対象50例100側にCNVを用い味覚検査を行い,5例5側のスケールアウトを除く50例95側でCNV閾値が測定できた.測定できたCNV閾値と従来の方法で測定した自覚閾値との相関関係を調べたところ,相関係数0.961と両閾値間に非常に高い相関関係がみられた.CNV閾値の再現性をみるために,自覚閾値正常者5例5側で,日を改めて3回測定した.各被験者において測定できたCNV閾...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 103; no. 10; pp. 1161 - 1168
Main Authors 村田, 清高, 伊東, 明彦, 中村, 浩, 川本, 亮, 磯野, 道夫, 東, 博二
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.10.2000
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.103.1161

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Summary:事象関連電位の1つである随伴陰性変動(CNV)は警告刺激S1に対して後続する命令刺激S2の出現を予期することにより発生する.我々はこの特徴を利用し,警告刺激S1に電気味覚刺激を用い,他覚的味覚検査としての有用性について検討した. 対象50例100側にCNVを用い味覚検査を行い,5例5側のスケールアウトを除く50例95側でCNV閾値が測定できた.測定できたCNV閾値と従来の方法で測定した自覚閾値との相関関係を調べたところ,相関係数0.961と両閾値間に非常に高い相関関係がみられた.CNV閾値の再現性をみるために,自覚閾値正常者5例5側で,日を改めて3回測定した.各被験者において測定できたCNV閾値の差は4dB以下であった.味覚異常者である顔面神経麻痺患者の経過を追えた4症例において,自覚閾値とCNV閾値を比較した.各4症例でそれぞれの自覚閾値とCNV閾値の差は2dB以下であった.これらのことから,CNV閾値の信頼性について満足のいく結果であった. 次に,味覚障害の詐病検査として,その有用性を検討するために味覚の模擬実験を施行した.被験者はCNVに対して知識をもっている医師3名(知識群)と全く知識を持っていない3名(無知識群),計6名とした.各被験者において,模擬閾値と自覚閾値との差は2dB以下,CNV閾値との差は4dB以下であった.また知識群と無知識群との比較においても,模擬閾値は自覚,CNV閾値に非常に近い値であった. 以上の結果から,CNVを用いた味覚検査は有用であり,他覚的味覚検査の一つとして十分利用可能であることがわかった.また詐病の診断においても,その有用性が示唆された.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.103.1161