実験的舌接触補助床における三次元的形態の特徴と嚥下時舌圧との関連 健常有歯顎者を対象とした予備的検討

舌機能低下を原因とする口腔期障害に対し舌接触補助床(Palatal Augmentation Prosthesis,以下PAP)が使用されている。PAPの形態は術者の経験に依存する部分が大きく,その形態に関する研究は少ない。本研究では,相同モデル理論を応用してPAPの三次元的形態を解析し,また,PAPの形態決定において重要とされる嚥下時舌圧との関連についても分析を試みた。 健常有歯顎者11名(平均年齢26.7±8.4歳)を対象にスプリントによって実験的に咬合高径を挙上し,通法どおりPAPを製作した。このうち6名(平均年齢28.8±20.2歳)はスプリントとPAPを装着した状態での水嚥下時の舌圧...

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Published in老年歯科医学 Vol. 33; no. 4; pp. 471 - 481
Main Authors 𡈽田, 優美, 古屋, 純一, 大木, 明子, 鈴木, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.03.2019
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.33.471

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Summary:舌機能低下を原因とする口腔期障害に対し舌接触補助床(Palatal Augmentation Prosthesis,以下PAP)が使用されている。PAPの形態は術者の経験に依存する部分が大きく,その形態に関する研究は少ない。本研究では,相同モデル理論を応用してPAPの三次元的形態を解析し,また,PAPの形態決定において重要とされる嚥下時舌圧との関連についても分析を試みた。 健常有歯顎者11名(平均年齢26.7±8.4歳)を対象にスプリントによって実験的に咬合高径を挙上し,通法どおりPAPを製作した。このうち6名(平均年齢28.8±20.2歳)はスプリントとPAPを装着した状態での水嚥下時の舌圧をシート型舌圧センサにて測定した。PAPの形態分析には,PAPを光学スキャナでスキャンし,相同モデルを作成後,主成分分析を用いた.また,Pearsonの積率相関分析にて舌圧との関連を分析した。 主成分分析では,PAPの形態で個人差が大きい部分は口蓋の高さ,正中部の厚み,前方部豊隆,全体の厚み,側方部豊隆であり,これらの形態によってPAP全体の形態が決定づけられることが示唆された。また,PAP前方部と側方部の豊隆は,嚥下時舌圧が低いほど豊隆が大きくなるという相関関係を認め,固有の嚥下時舌圧に合わせた調整の際には,PAP前方部・側方部の豊隆調節が重要である可能性が示唆された。 相同モデル理論の応用により,形態決定時の参考となりうるPAPの基本的な三次元的形態が明らかとなり,また,PAP前方部や側方部の豊隆と嚥下時舌圧に関係があることが明らかとなった。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.33.471