札幌市におけるβ溶血レンサ球菌臨床分離株の菌型分布に関する長期的観察 I. A群溶血レンサ球菌T型分布の31年間の推移

1969年から99年までの31年間に市立札幌病院で分離されたA群溶血レンサ球菌6, 866株についてT型別を行い以下の結果を得た.菌株の内訳は狸紅熱患者株 (狸紅熱株) 5, 866株, 小児患者株 (小児株) 450株, 成人患者株 (成人株) 141株, および由来不明株409株である. 1.分離された菌型と分離頻度はT12型44.1%, T4型21.7%, T1型9.2%, T6型4.4%, T3型28%, T22型21%, T18型1.9%, T28型1洛%で, その他7菌型で計16種類が検出されていた.T12型, T4型, T1型が主流菌型を形成し, 全国的な傾向と一致していた.T6...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 167 - 173
Main Authors 坂本, 裕美子, 滝沢, 慶彦, オリベラ, 恵, 高橋, 俊司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.03.2001
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.75.167

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Summary:1969年から99年までの31年間に市立札幌病院で分離されたA群溶血レンサ球菌6, 866株についてT型別を行い以下の結果を得た.菌株の内訳は狸紅熱患者株 (狸紅熱株) 5, 866株, 小児患者株 (小児株) 450株, 成人患者株 (成人株) 141株, および由来不明株409株である. 1.分離された菌型と分離頻度はT12型44.1%, T4型21.7%, T1型9.2%, T6型4.4%, T3型28%, T22型21%, T18型1.9%, T28型1洛%で, その他7菌型で計16種類が検出されていた.T12型, T4型, T1型が主流菌型を形成し, 全国的な傾向と一致していた.T6型のように札幌市独自の菌型の流行も見られた. 2. 各菌型は4~8年間隔の流行波を形成する傾向が見られた.特にT1型やT4型においてその傾向が強く示されていた.T3型とT6型は突発的に増減するパターンを繰り返していた. 3. 猩紅熱株ではT12型 (477%) とT4型 (225%) が有意に高かった (p<0.005). T1型は患者群や各年齢層に関係なく広く分布していた.成人株においては全体的に多くの菌型に分布しているのが特徴であった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.75.167