下肢外傷加療後, 長期にわたり骨量減少が持続した症例の検討

「はじめに」我々は下肢外傷が骨に及ぼす影響を客観的に捕らえるために骨折術後の踵骨骨量を経時的に測定してきた. 2週間以上の免荷が必要でかつ6ケ月以上経過観察が可能であった下肢骨折症例について健側の骨量はほとんど変化しないが, 患側は23例中, 19例に健側に比し10%以上の骨量減少を認めたことをすでに報告した8). ほとんどの症例で減少した骨量は順調に回復するものの, その中で長期にわたり骨量の減少が持続する症例が存在していた. 今回はその原因, 臨床症状との関連について検討し報告する. 対象 1995年11月より1997年4月までに治療した片側下肢の外傷症例を対象とした. 踵骨骨折および過去...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 4; pp. 1283 - 1287
Main Authors 岡野邦彦, 田口厚, 河野昌文, 中村智, 本岡勉, 安倍徹, 林拓男, 原田真一, 大塚和孝, 西村誠介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」我々は下肢外傷が骨に及ぼす影響を客観的に捕らえるために骨折術後の踵骨骨量を経時的に測定してきた. 2週間以上の免荷が必要でかつ6ケ月以上経過観察が可能であった下肢骨折症例について健側の骨量はほとんど変化しないが, 患側は23例中, 19例に健側に比し10%以上の骨量減少を認めたことをすでに報告した8). ほとんどの症例で減少した骨量は順調に回復するものの, その中で長期にわたり骨量の減少が持続する症例が存在していた. 今回はその原因, 臨床症状との関連について検討し報告する. 対象 1995年11月より1997年4月までに治療した片側下肢の外傷症例を対象とした. 踵骨骨折および過去に受傷歴のある症例は除外し, 治療後2週間以上の免荷が必要であり, かつ経時的に骨量測定が可能であった症例は28例で男性18例, 女性10例であった. 平均年齢は13~88歳(平均50歳)であった. 受傷部位は股関節部5例, 大腿部3例, 膝関節部1例, 下腿部2例, 足関節部8例, 足部9例であった.
ISSN:0037-1033