多椎体(C2-Th6)にわたる脊髄astrocytomaの1治験例

小児期に発症する脊髄gliomaは小児中枢神経系gliomaの約4%であり2), 3), 6), その約60%はastrocytomaである2, 18). 脊髄astrocytomaは長期間無症状で経過したり, 緩徐かつ多彩な神経症状の変化を示すことから, 正確な診断は困難であり, 診断時にすでに多椎体にわたる脊髄腫瘍であることが判明することはまれではない. しかし, 10椎体以上の広範囲進展例は非常に少なく, 現在まで10余例の報告があるのみである3, 6, 8, 10, 11, 14, 17, 23, 26, 27, 30). 従来, 脊髄髄内腫瘍の治療は硬膜減圧, ミエロトミー, 生検,...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 8; pp. 649 - 654
Main Authors 長尾省吾, 古田知久, 山本良裕, 西本詮, 万代素子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1986
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ISSN0470-8105

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Summary:小児期に発症する脊髄gliomaは小児中枢神経系gliomaの約4%であり2), 3), 6), その約60%はastrocytomaである2, 18). 脊髄astrocytomaは長期間無症状で経過したり, 緩徐かつ多彩な神経症状の変化を示すことから, 正確な診断は困難であり, 診断時にすでに多椎体にわたる脊髄腫瘍であることが判明することはまれではない. しかし, 10椎体以上の広範囲進展例は非常に少なく, 現在まで10余例の報告があるのみである3, 6, 8, 10, 11, 14, 17, 23, 26, 27, 30). 従来, 脊髄髄内腫瘍の治療は硬膜減圧, ミエロトミー, 生検, 部分摘出, 放射線療法などが行われてきたが, 最近では多椎体にわたる髄内腫瘍にもマイクロサージエリーの手技が応用されるようになり, 腫瘍全摘の報告がなされっつある12, 27, 31, 32). 我々は, 12椎体にわたる脊髄髄内astrocytomaのほぼ全摘出を行い, 著明な神経学的改善をみた1例を経験したのでこれを報告し, 大きな脊髄astrocytomaの症候および治療について若干の考察を加える.
ISSN:0470-8105