外耳道後壁再建材としてのアパタイトセラミックス

鼓室形成術において骨橋を削除した際, 真珠腫再発の原因となりうるretraction pocket形成を防ぐために, アパタイトセラミックスを用いて外耳道後上壁を再建し, 長期観察を行った. 対象は真珠腫性中耳炎36耳, 非真珠性16耳である. アパタイトを骨橋除去部に挿入し, その表面を筋膜で被覆した. 筋膜の不足や萎縮などによるアパタイトの露出は13例あったが, そのうち5例は最終的に上皮で覆われた. また, 異物として排出されたものは1例もなかった. retraction pocket形成は4例にみられたが, 材質の変形によるものではなく, 真珠腫再発はわずか2例であった. この結果は他...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 90; no. 2; pp. 159 - 168
Main Authors 西山哲, 船坂宗太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.02.1987
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ISSN0030-6622

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Summary:鼓室形成術において骨橋を削除した際, 真珠腫再発の原因となりうるretraction pocket形成を防ぐために, アパタイトセラミックスを用いて外耳道後上壁を再建し, 長期観察を行った. 対象は真珠腫性中耳炎36耳, 非真珠性16耳である. アパタイトを骨橋除去部に挿入し, その表面を筋膜で被覆した. 筋膜の不足や萎縮などによるアパタイトの露出は13例あったが, そのうち5例は最終的に上皮で覆われた. また, 異物として排出されたものは1例もなかった. retraction pocket形成は4例にみられたが, 材質の変形によるものではなく, 真珠腫再発はわずか2例であった. この結果は他材と比較して, はるかに好成績であり, アパタイトは骨再建用人工材としてすぐれたものと結論された.
ISSN:0030-6622