誘発耳音響放射の臨床応用に関する研究

「緒言」 1978年Kemp1)によって発見された誘発耳音響放射(evoked otoacoustic emission, 以下e-OAEと略)は, 外有毛細胞に密接な関連を有する蝸牛内微小機械系振動の外, 中耳への投影と考えられる1)2)ことから内耳外有毛細胞機能の他覚的検査法の1つとして臨床応用が検討されている. 現在e-OAEの測定法には以前より行われてきた誘発電位測定装置と特製プローブの組み合わせによる方法とKemp&Brayが製作したe-OAEの測定, 解析のための専用器Oto-dynamic analyser ILO88による方法の2つがあるが, e-OAEを臨床に応用する...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 94; no. 8; pp. 1158 - 1225
Main Authors 村上裕, 立木孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.08.1991
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ISSN0030-6622

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Summary:「緒言」 1978年Kemp1)によって発見された誘発耳音響放射(evoked otoacoustic emission, 以下e-OAEと略)は, 外有毛細胞に密接な関連を有する蝸牛内微小機械系振動の外, 中耳への投影と考えられる1)2)ことから内耳外有毛細胞機能の他覚的検査法の1つとして臨床応用が検討されている. 現在e-OAEの測定法には以前より行われてきた誘発電位測定装置と特製プローブの組み合わせによる方法とKemp&Brayが製作したe-OAEの測定, 解析のための専用器Oto-dynamic analyser ILO88による方法の2つがあるが, e-OAEを臨床に応用するには, 測定されたe-OAEの再現性が良好であること, すなわち再現性の良好なe-OAEの代表値を指標として用いることが重要である. 誘発電位測定装置と特製プローブの組み合わせによるe-OAE測定法では, e-OAE閾値あるいは“みかけの閾値”が臨床的指標として用いられているが3)4), ILO88では, その臨床的指標について一定の見解はまだない.
ISSN:0030-6622