超高齢者(90歳以上)の大腿骨近位部骨折に関する検討

社会の高齢化とともに大腿骨近位部骨折症例は増加しており, 周術期合併症のリスクはあるがADLやQOLの再獲得には手術的加療が望まれる. そこで今回超高齢者(90歳以上)の大腿骨近位部骨折に関する有用性について検討を行った. 対象は, 2009年1月~2011年1月に来院した90歳以上の大腿骨近位部骨折45例46股(男性6例, 女性39例, 平均年齢94歳)で, 術前後の合併症, 歩行能力の変化等を調査した. 44関節(96%)で観血的治療が行われた. 平均手術待機時間は0.9日であった. 入院時に重篤な合併症を7例(16%)に認め, 術後10日以内の死亡例を3例(7%)経験し, その原因は術中...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 61; no. 1; pp. 26 - 28
Main Authors 橋本哲, 古市格, 村田雅和, 森口昇, 塚本正紹, 田浦智之, 島内誠一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2012
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ISSN0037-1033

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Summary:社会の高齢化とともに大腿骨近位部骨折症例は増加しており, 周術期合併症のリスクはあるがADLやQOLの再獲得には手術的加療が望まれる. そこで今回超高齢者(90歳以上)の大腿骨近位部骨折に関する有用性について検討を行った. 対象は, 2009年1月~2011年1月に来院した90歳以上の大腿骨近位部骨折45例46股(男性6例, 女性39例, 平均年齢94歳)で, 術前後の合併症, 歩行能力の変化等を調査した. 44関節(96%)で観血的治療が行われた. 平均手術待機時間は0.9日であった. 入院時に重篤な合併症を7例(16%)に認め, 術後10日以内の死亡例を3例(7%)経験し, その原因は術中大量出血1例, 消化管出血1例, 肺炎1例であった. しかし死亡原因と既往症に関連はなく, 周術期に新たな合併症が併発していた. ADLの変化では, 受傷前に歩行可能であった37例中19例(51%)が術後に再度歩行可能となった.
ISSN:0037-1033