肘頭骨端癒合不全の治療経験

「はじめに」肘頭の骨端線損傷はまれであり, その中でも肘頭骨端線癒合不全は比較的まれである. 今回その1例を経験したので報告する. 「症例」症例は14歳男性で少年野球の投手である. 平成10年9月より特に野球で連投した後に右肘痛を来すようになり, 平成10年10月19日当科来院した. 来院時, 約20度の伸展制限があり, 肘頭部に圧痛を認めた. 初診時レントゲン像では, 患側の右肘(図1)は肘頭の骨端線部に約5mmの離開を認め, 辺縁が硬化していおり, 骨折面は前後像で肘関節に対して平行である. 健側(図2)は既に骨端線は閉鎖しており, 特に症状はない. 両膝とも二分膝蓋骨等の所見はない. 平...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 3; pp. 904 - 908
Main Authors 小田裕造, 山中三知夫, 多田弘史, 土屋隆之, 岩瀬丈明, 西島毅志, 藤尾圭司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2000
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033

Cover

More Information
Summary:「はじめに」肘頭の骨端線損傷はまれであり, その中でも肘頭骨端線癒合不全は比較的まれである. 今回その1例を経験したので報告する. 「症例」症例は14歳男性で少年野球の投手である. 平成10年9月より特に野球で連投した後に右肘痛を来すようになり, 平成10年10月19日当科来院した. 来院時, 約20度の伸展制限があり, 肘頭部に圧痛を認めた. 初診時レントゲン像では, 患側の右肘(図1)は肘頭の骨端線部に約5mmの離開を認め, 辺縁が硬化していおり, 骨折面は前後像で肘関節に対して平行である. 健側(図2)は既に骨端線は閉鎖しており, 特に症状はない. 両膝とも二分膝蓋骨等の所見はない. 平成10年11月20日, 肘頭骨端癒合不全の診断のもと, 掻爬骨移植内固定術を施行した. 近位骨片は約5mm離開し可動性はなかった. 病巣部を掻爬し, 腸骨からの骨移植でinlay graft, onlay graftを行い, 中空螺子, ワイヤーで鋼線締結し, ワイヤーで移植骨を保持した.
ISSN:0037-1033