神経病性脊椎症に対する脊椎後方固定術の2例

「はじめに」神経病性関節症とは深部知覚障害を来す疾患において比較的急速に関節破壊を生じる関節症である. 脊椎がそのような状態に陥れば, Charcot Spineと呼ばれ, 高度の不安定性のための障害が出現する. その治療には非観血的療法(安静, 装具療法)及び観血的療法(インストルメント, 骨移植を併用した関節固定術)等が施行されている. 今回, 我々は脊椎後方固定術を施行したいわゆるCharcot spineの2例について治療経過を紹介し, 検討を加え報告する. 症例 症例1:34歳の女性, 1993年4月から腰痛が出現し, 近医にて第4腰椎すべり症と診断されていたが, 1ケ月後に突然起立...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 4; pp. 1093 - 1096
Main Authors 眞島武, 永田見生, 有吉護, 薗田恭輔, 井本浩樹, 庄田孝則, 森啓介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」神経病性関節症とは深部知覚障害を来す疾患において比較的急速に関節破壊を生じる関節症である. 脊椎がそのような状態に陥れば, Charcot Spineと呼ばれ, 高度の不安定性のための障害が出現する. その治療には非観血的療法(安静, 装具療法)及び観血的療法(インストルメント, 骨移植を併用した関節固定術)等が施行されている. 今回, 我々は脊椎後方固定術を施行したいわゆるCharcot spineの2例について治療経過を紹介し, 検討を加え報告する. 症例 症例1:34歳の女性, 1993年4月から腰痛が出現し, 近医にて第4腰椎すべり症と診断されていたが, 1ケ月後に突然起立不能となり, 保存的治療で改善しないため, 当科紹介入院となった. 先天性無痛覚症疑いで精査を受けた既往がある. 入院時, 両下肢不全麻痺. 両下腿外側の知覚低下, 腱反射減弱を認めた. JOAスコアは11点であった単純X線写真でL4のすべりとL5椎体の高度な破壊ならびに不安定性を認めた(図1-A). 手術は, L4/5の椎弓切除とインストルメント, 骨移植を併用した後方固定術を施行した. 硬膜, 神経根は後方から肉芽組織により, 前方から変性した椎間板および辷りにより圧迫されていた. 術後3週から半硬性コルセット装着にて歩行器歩行を行なっていたが, 術後6週目にスクリューの折損を生じた. 術後10ケ月, 軽度の動揺性は認められたが, 下肢筋力は改善し, 疼痛も軽度であったので, コルセット除去. 術後4年6ケ月の現在両下肢の筋力はほぼ正常に回復し, 仕事中のみコルセットを装着している.
ISSN:0037-1033