あぐら座位での入眠による両下肢横紋筋融解症のリハビリテーションの経験
横紋筋融解症は, 横紋筋の広範な損傷によりミオグロビン尿, 高ミオグロビン血症, 高クレアチニンキナーゼ(CK)血症を呈し, 急性腎不全などを合併する疾患であり, その原因として, 外傷, 運動負荷, 虚血性変化, 代謝異常, 薬物, 感染などが知られている1). 今回, 我々は発見時の状況からあぐら座位での入眠という長時間の不良姿勢によって, 両下肢のコンパートメント症候群を生じ, 横紋筋融解を誘発したと考えられた脳梗塞不全左片麻痺患者のリハビリテーション(以下, リハ)を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例 73歳, 男性 障害:両下肢麻痺 家族歴:独居, 娘夫婦は都内に...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 7; pp. 467 - 470 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
2000
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ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 横紋筋融解症は, 横紋筋の広範な損傷によりミオグロビン尿, 高ミオグロビン血症, 高クレアチニンキナーゼ(CK)血症を呈し, 急性腎不全などを合併する疾患であり, その原因として, 外傷, 運動負荷, 虚血性変化, 代謝異常, 薬物, 感染などが知られている1). 今回, 我々は発見時の状況からあぐら座位での入眠という長時間の不良姿勢によって, 両下肢のコンパートメント症候群を生じ, 横紋筋融解を誘発したと考えられた脳梗塞不全左片麻痺患者のリハビリテーション(以下, リハ)を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例 73歳, 男性 障害:両下肢麻痺 家族歴:独居, 娘夫婦は都内に在住. 既往歴:65歳時, 脳梗塞. 66歳時, 前立腺肥大手術 現病歴:65歳時, 脳梗塞による左不全麻痺を生じたが, 歩行, 日常生活動作は自立していた. 高齢者の独居生活のため, 週2回のヘルパー派遣がなされていた. 1998年6月4日, 午後10時頃, あぐら座位にてテレビを見ながら, 缶ビールを2本程度飲酒後, そのまま寝入ってしまい, 翌6月5日朝10時頃, ヘルパーが自宅に訪問した際に, 玄関先で応答がないことを不審に思い, 警察に通報された. 警察官によって患者が, あぐら座位でうつ伏せの状態で倒れているのが発見され, 救急車にてY病院救急センターに搬送となり, 脳梗塞再発作の疑いで入院となった. 搬送時には意識清明であり, 両下肢麻痺を認め, 血液所見にてCK 15450, クレアチニン(Cr), 尿素窒素(BUN)上昇により, 横紋筋融解症による急性腎不全の診断で, 血液透析が施行された. 6月22日, 家族の希望で当院腎臓内科に入院となり, 治療の継続をしたが, 横紋筋融解の原因については不明であった. 7月8日に当科依頼となった. |
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ISSN: | 0034-351X |