日本の大学病院における輸血医学教育の現状と問題点; 平成21年度大学病院輸血部会議「教育に関する調査報告」(2)

平成21年度大学病院輸血部会議では, 輸血医学教育に焦点を絞り, 調査を行った. その中ではコア・カリキュラム上の各項目と関連づけながら卒前の輸血医学に関する教育時間, 教育内容, 教官が重要視している項目を検討した. 教育時間とコア・カリキュラムの各項目における学生の理解度に関して検討したところ, 「血液製剤の種類と適応」を「学生の多くが説明できる」と教官が評価した施設の方が, 教育時間が有意に長いことが示された(p=0.03). 卒前の実習で交差適合試験を導入している施設(51施設)と導入していない施設(18施設)に, 「学生が交差適合試験を説明できるか」を評価してもらったところ, 「多く...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 58; no. 3; pp. 492 - 499
Main Authors 藤原晴美, 渡邊弘子, 山田千亜希, 大友直樹, 押田眞知子, 友田豊, 万木紀美子, 星順隆, 高橋孝喜, 前川平, 大戸斉, 竹下明裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 25.06.2012
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Summary:平成21年度大学病院輸血部会議では, 輸血医学教育に焦点を絞り, 調査を行った. その中ではコア・カリキュラム上の各項目と関連づけながら卒前の輸血医学に関する教育時間, 教育内容, 教官が重要視している項目を検討した. 教育時間とコア・カリキュラムの各項目における学生の理解度に関して検討したところ, 「血液製剤の種類と適応」を「学生の多くが説明できる」と教官が評価した施設の方が, 教育時間が有意に長いことが示された(p=0.03). 卒前の実習で交差適合試験を導入している施設(51施設)と導入していない施設(18施設)に, 「学生が交差適合試験を説明できるか」を評価してもらったところ, 「多くが可能」とした施設は導入している施設で73%, 導入していない施設で34%であった. 教官が輸血医学教育で大切にしている項目として, 「輸血の適応と合併症」を挙げたのは81%(48施設)であった. しかし本項は13施設(27%)が「学生の半数以上が説明できない」と評価しており, 後者では輸血教育に費やされる時間は前者のそれより短かった.
ISSN:1881-3011