逆行性顔面神経誘発電位の臨床応用に関する研究

モルモットを用いて顔面神経の逆行性誘発電位(AEP)を記録し, 外耳道後壁に設置した電極から記録されるAEPの起源を検討した. また, AEPの診断的有用性を誘発筋電図(eEMG)と比較した. 顔面神経管上からの記録波形との比較, および神経切断実験により, AEPは錐体部付近の状態を最もよくあらわすがその近傍の状態をも反映し得る検査であり, 障害部位診断にも応用しうることが示された. また圧迫による麻痺モデルにおいて経時的にAEPとeEMGを記録したところ, AEPはeEMGより顔面神経麻痺の状態によく相関し, 予後診断法としても優れていることが示された. しかし臨床応用に際しては, まだ未...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 97; no. 4; pp. 645 - 837
Main Authors 木谷伸治, 柳原尚明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.04.1994
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ISSN0030-6622

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Summary:モルモットを用いて顔面神経の逆行性誘発電位(AEP)を記録し, 外耳道後壁に設置した電極から記録されるAEPの起源を検討した. また, AEPの診断的有用性を誘発筋電図(eEMG)と比較した. 顔面神経管上からの記録波形との比較, および神経切断実験により, AEPは錐体部付近の状態を最もよくあらわすがその近傍の状態をも反映し得る検査であり, 障害部位診断にも応用しうることが示された. また圧迫による麻痺モデルにおいて経時的にAEPとeEMGを記録したところ, AEPはeEMGより顔面神経麻痺の状態によく相関し, 予後診断法としても優れていることが示された. しかし臨床応用に際しては, まだ未解決の問題が残されている.
ISSN:0030-6622