人工膝関節置換術における微線維性コラーゲンの出血抑制効果の検討

「はじめに」肝炎, エイズ, ATL, GVHDは輸血の重大な合併症であり, その対策として自己血輸血や回収血輸血も行われている. 一方, 輸血をしなくて済むように出血を抑制する種々の工夫もなされている. 人工膝関節置換術において脛骨骨切り面に止血剤の微線維性コラーゲン(商品名:アビテン)を使用しその効果を調べてみた. 対象と方法 4年間で129例148膝に人工関節置換術を行い, その中で変形性関節症で輸血を行わず正確なデータの得られたWhiteside人工膝の93例103膝(男13例, 女80例)を対象とした. 大腿骨, 膝蓋骨コンポーネントにはセメントを使用し, 脛骨骨切り面にアビテンを使...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 816 - 817
Main Authors 坂田浩章, 前川清継, 岡嶋啓一郎, 高野晴夫, 浦田伸一, 川添泰弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」肝炎, エイズ, ATL, GVHDは輸血の重大な合併症であり, その対策として自己血輸血や回収血輸血も行われている. 一方, 輸血をしなくて済むように出血を抑制する種々の工夫もなされている. 人工膝関節置換術において脛骨骨切り面に止血剤の微線維性コラーゲン(商品名:アビテン)を使用しその効果を調べてみた. 対象と方法 4年間で129例148膝に人工関節置換術を行い, その中で変形性関節症で輸血を行わず正確なデータの得られたWhiteside人工膝の93例103膝(男13例, 女80例)を対象とした. 大腿骨, 膝蓋骨コンポーネントにはセメントを使用し, 脛骨骨切り面にアビテンを使用した群41膝, 未使用群62膝の2群について48時間のドレーン出血量と術後3日以後の最小ヘマトクリットより計算した全出血量の2項目で比較した. 手術手技は, 両群同じとし, 脛骨コンポーネントをアビテンをはさんでスクリューで固定し, 大腿骨膝蓋骨コンポーネントはセメントにて固定した外側解離, Jones包帯, ドレーンクランプ法4)を全例に行い, CPMは2ないし3日後より開始した. 従来より出血量の報告4)5)は, ガーゼ出血とドレーン出血の合計でされていたが, 最近では, 術前と術後のヘマトクリットの差より計算した出血量での報告1)2)3)がみられ, 今回もこの計算式よりだした. 検定は, Student's t-testにて行った.
ISSN:0037-1033