多チャンネル人工内耳における語音の認知

「1. はじめに」 聾および高度感音難聴者に聴覚を与えるべく開発された人工内耳は1970年代から欧米諸国で実用段階に入り1)2), 我が国でも数年前から臨床応用が試みられている3)4). 人工内耳は, 単チャンネル型と多チャンネル型に大別され, 前者は1本の電極を使用するのに対し, 後者は4~22本の電極を使用し, 言語の認識にはより有利と考えられる5). うちオーストラリア, コクレア社製22チャンネル人工内耳は音をいくつかの成分に分け, 蝸牛内に埋め込んだ22本の電極を順次刺激していく方式のものである6). 本人工内耳装用患者は, 術後2~3カ月でかなり良好な言語の認識が可能となる4)....

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 93; no. 7; pp. 1015 - 1165
Main Authors 伊藤壽一, 本庄巖, 竹内真理子, 榊原淳二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.1990
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ISSN0030-6622

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Summary:「1. はじめに」 聾および高度感音難聴者に聴覚を与えるべく開発された人工内耳は1970年代から欧米諸国で実用段階に入り1)2), 我が国でも数年前から臨床応用が試みられている3)4). 人工内耳は, 単チャンネル型と多チャンネル型に大別され, 前者は1本の電極を使用するのに対し, 後者は4~22本の電極を使用し, 言語の認識にはより有利と考えられる5). うちオーストラリア, コクレア社製22チャンネル人工内耳は音をいくつかの成分に分け, 蝸牛内に埋め込んだ22本の電極を順次刺激していく方式のものである6). 本人工内耳装用患者は, 術後2~3カ月でかなり良好な言語の認識が可能となる4). 本稿では本方式の多チャンネル人工内耳における語音認識の機構について, 装置の面と人工内耳からの情報を受け, これを言語として認識する蝸牛内及び脳内の活動の面から検討した. 具体的にはI)現在の人工内耳の問題点と限界.
ISSN:0030-6622